今回は54金型向飛車 vs 三間飛車66銀型 について見ていきます。
※便宜上、前提として先手は常に攻めの姿勢を取るものとします。あくまで後手のプランを示すための研究に過ぎず、最善を追い求めた手順ではないのであしからず。
まず先手が66銀型に組むためには序盤は66歩ではなくて68飛(図1)とすることになります。
実戦ではあまり指されない手ですが、現代将棋っぽい手ではありますよね。ちなみに僕は古典的な駒組みを好む棋風なので68飛のような手は、まぁまず指しません。
図1から自然に進んで73歩(図2)
先手が86歩と突いたのを見てから7筋を収めておきます。そもそもなぜここまでの間 7筋を開けておいたかというと、参考図1のような84銀の展開を残しておくためです。先手が97角56銀に構える場合にはこの84銀が有効になります。これについては過去の記事で研究していますので興味があればご覧ください↓
この84銀の展開は54金型向飛車の主眼の狙いなので何か特別な事情がない限りは7筋を開けておきたいわけです。
図2では先手が86歩を突いたことで先手の85歩~86飛の向かい飛車プランがほぼ確定しました。それと同時に84銀の展開が使えないことが確定したので、ここではおとなしく7筋を収めておくのがベストとなります。
以下、先手は適当なタイミングで角交換してから86飛~66銀(図3)と進みます。
先手の66銀型がだいたい完成しました。後手の駒組みの注意点としては、2筋の歩よりも54金と囲いを優先することです。図3から先手は56角から8筋殺到を狙っていますから、後手はそれを阻止する必要があります。
そこで図3から64金(図4)
64金によって先手の75銀の進出を防ぐことができます。それでも先手が予定通り56角と打ってくるとして手順を進めます。
図4から77桂25歩56角(図5)
75銀は既に消えているからといって後手が黙っていると、図5から43銀95歩同歩84歩同歩92歩(参考図2)で先手勝勢となります。
したがって後手はこれを防ぐために図5からは74歩(図6)
これで受かっていると思います。先手はもたもたしていると54歩~55歩で角が死ぬのでここは攻めるしかなく、図6から65銀75金87飛55角(図7)と進みます。
以下は一例ですが
図7から74銀同金同角76銀(図8)※74銀に76金は83銀成同銀84歩が激痛byソフト
図7から76歩86金同飛77角成89飛44桂(図9)
いずれも後手十分の形勢だと思います。
研究は以上です。結論としましては
先手の66銀~56角の攻めに対し、後手は64金~74歩で受かる
ちなみにソフトによると図10のように35歩~36歩とする手があるようです。
図10から同歩なら64角で後手勝ちなので、先手の候補手としては
【1】77銀26歩同歩同飛28歩46歩・・・
【2】75銀65金66銀・・・
【3】48金(上がりも寄りもある)
らしいです。評価値は0から-100あたりなので完全に互角なようです。ちなみに後手は36歩の前に64角もあるようで、88飛なら36歩で後手が得ですので64角には先手も75角とぶつけてこれもまた一局のようです。
これも一考の価値はあるでしょうけど、僕は穏便に済ます64金の方がよさそうだと思いました。
問題点
本記事では54金型向飛車+金無双について検討しましたが、この54金型向飛車+金無双には問題点があります。
これらの記事で書いたとおり、54金型向飛車では先手の平矢倉に対応できません。金無双だと75飛~45銀があるため更に平矢倉に弱いです。そのため現時点では凧金(44金~25歩)で平矢倉を消してから44金→54金として一手損で54金型向飛車+金無双に合流するプランが最善だと思っています。ところが一手損をすることに加えて25歩も優先しなければならないため、したがってこの凧金プランの将棋では、本記事より後手がかなり遅い陣形(図11)になるという問題があります。
図11は図4と比較すると後手の囲いが2手遅れています。囲いが整わないので、例えば84歩同歩同飛83歩64飛同歩41角は果たして後手大丈夫なのか?という不安あり。
したがって凧金を採用する場合は図12のように44歩~45歩は後回しにするのが考えられます。
この場合は54金型向飛車というよりも純粋な凧金の将棋ですね。凧金の不安要素として46歩から高美濃に組まれる可能性があります。僕としてはこれが不満なので45歩を突いて54金型向飛車にしたいのですが・・・上手い解決策を模索中です。
おわり