M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

24歩一発屋への対策 -23飛型

(((º□º ;;)おわぁぁぁぁ

2切れではこの手の事故がそこそこあります。そして振り飛車側は仮に△同歩とうまく反応できた場合でも、そこからこの24歩突きを咎めるのは簡単ではありません。危ない目に遭わされた見返りとして咎めてやりたいところですが、咎めようと過剰反応すると逆に振り飛車側が自爆することもしばしば。

今回はそんな振り飛車党の悩みに対して一助となるアイデアを紹介します。

図1:△24歩

まず△同歩(図1)は頑張って取ります。必ず2筋と9筋には目を向けておくようにしましょう。上図から▲78玉△72玉▲36歩△43銀▲46歩△22飛▲37桂△23飛(図2)

図2:△23飛

この△23飛が対策の根幹です。この手は主に2つの意味を持っています。

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対 中飛車左穴熊- 左玉による対策

今回は中飛車穴熊 対策としての「左玉」を考察します。もともとは県の強豪が指しているのを見たのが始まりです。※本記事は無ソフト研究ですので内容は厳密には間違いを含んでいます、ご了承ください。

初手から▲56歩△34歩▲58飛△44歩▲55歩△42銀▲76歩△43銀▲48銀△33角▲77角△22飛▲68玉△72銀▲78玉△74歩▲57銀△73銀▲66銀△64銀▲88玉△24歩▲98香△25歩▲56飛△42玉▲99玉△32玉▲88銀△51角▲79金△84角▲16歩△14歩▲59金△52金▲69金△73桂(基本図)

基本図

一般的に中飛車穴熊には①石田流もしくは②居飛車振り戻しが有名です。本作戦:左玉はそれらに代わる三番目の手段です。

基本図に至るまでは△42玉→△32玉と玉を移動させてから△51角と引きます。△84角に据えるのが良い位置で、39地点まで突き刺さっています。また注意点として▲16歩△14歩と端歩は受けるのが鉄則です。仮に▲15歩〜▲68角〜▲16飛を許すと先手からの端攻めが厳しくなり、かつ先手の飛車を広くしてしまうのがその理由です。同じく端攻めを警戒して△33桂は基本的に跳ねないことを推奨します。

後手の狙い

基本図から▲78金△65銀▲同銀△同桂▲68角△39角成(図1)、後手優勢

図1

後手の方針は単純明快で、△65銀から仕掛けます。本譜▲68角と引いた手に代えて▲66角も考えられますが、これには以下△45銀▲58飛△26歩(図2)、後手良し

図2

このようにシンプルな手順で一方的に攻めることができます。まとめると戦略目標は以下の2つ。

1. 66銀をどかして△39角成

2. 56飛を引かせて△26歩

基本図から▲78金に代えて、A.86角, B. 68角が考えられます。順に見ていきましょう。

 

A. 86角の場合

基本図から▲86角(図3)

図3

これに対して後手は一手42金と備えてから仕掛けます。図3から△42金上▲78金△65銀▲同銀△同桂▲66銀△45銀▲58飛△26歩(図4)

図4

部分的には一方的に2筋突破が約束されていますが、86角が△64歩を阻止しているため桂は見捨てることになります。図4から▲65銀△39角成▲46歩△49馬(図5)

図5

飛車を5筋から追って先手の攻め種を完封できれば後手のワンサイドゲームになります、したがって以下先手は攻め合ってきます。図5から▲45歩△58馬▲44歩△同銀▲45歩△55銀▲44桂△同銀▲同歩△27歩成(図6)、後手優勢

図6

途中▲44歩〜▲45歩の叩きが先手の手筋で一見危うく見えますが、ドサクサに紛れて55歩を取った手が非常に大きく図6では先手の継続がありません。入玉ルートが確立できており後手勝ちが濃厚でしょう。※追記2024/1/7:後日ソフトに聞いてみるとこの変化は△55銀に▲77角などで先手優勢らしいです...確かに。なので後手としては以下に記述する展開を選ぶべきかと。

蛇足になりますが戻って図4から▲65銀に△27歩成(図7)という選択も一応ありうるので書いておきます。

図7

以下▲46歩△同銀▲54歩△57銀成▲53歩成△同金▲同角成△同金右▲54歩△同銀▲同銀△同金▲66桂△58成銀▲54桂△53銀(図8)、後手優勢

図8

先手はもっと刺さる攻撃を繰り出さねばなりません。先手の改良手順、図7から▲66桂△38と▲46歩△同銀▲54歩△同歩▲同銀△57歩▲53歩(図9)

図9

切り合いは怖いですが以下△58歩成▲52歩成△同銀①▲42角成△同玉▲53金△同銀▲43金△31玉▲53銀成△29飛成-後手入玉可能、②▲53金△同銀▲同銀△同金▲同角成△29飛-後手入玉可能

後手がやはり良さそうです。ただ個人的にはこちらの変化より図5,6の変化(▲66桂打たれる前に△39角成侵入する変化)のようがシンプルでいいと思います。

 

B. 68角の場合

基本図から▲68角(図10)

図10

以下続いて△65銀▲同銀△同桂(図11)

図11

次▲66歩は△67銀or△57銀で後手良し。一方で68角型の狙いは24地点であり以下の変化が厄介です。図11から▲15歩△同歩▲26歩△同歩▲15香△同香▲24歩(図12)、先手優勢

図12

なんと▲24歩一本で後手丸潰れになります。次の▲23銀と▲26飛が受りません。

後手の過ちは▲26歩を△同歩と取ったことです。正しい手順は途中▲26歩に△57銀▲86角△26歩(図13)で、これなら後手良しとなります。

図13

戻って図11からの先手の他の手段、▲66銀(図14)について考えてみましょう。

図14

以下続いて△64歩▲15歩△同歩▲26歩△同歩▲65銀△同歩▲24桂△33玉▲26飛(図15)

図15

これも同様に24地点に駒を置かれる展開は後手が勝ちにくい流れとなります。一例として図15以下23歩だと、12歩同香同桂成同飛25香32銀(打or引)24歩22香23歩成同香24歩22歩23歩成同歩24香31桂23香成同桂24角で先手優勢。

後手はやはり途中▲26歩を△同歩と取ってはならず、代えて①△51角(図16)または②△35歩▲同角△45銀▲58飛△34銀引▲68角△26歩(図17)

図16

図17

いずれも後手良しの結果です。ちなみに②の順の△45銀は飛車を引かせる簡単な手ではあるのですが、68角型の場合すぐ46歩で捕まってしまう懸念があります。本譜のように事前に35歩と捨てておくことで銀が生還できるようになります。

ちなみにこのような24地点狙いを緩和する意味で、そもそも駒組段階で△31玉に置いておくのは考えられますが、その場合A.▲86角ラインに乗るのが懸念点です。ここら辺の最適化はまた別の機会に検討してみます。

 

まとめ

以上で一通りの変化はカバーできたかと思います。77角,86角,68角の形に対して十分対抗できそうというのが結論です。「左玉vs左玉」かつ「バランス型vs堅牢型」という特殊な戦型であり、また△84角△73桂△64銀➕△22飛という両面から攻める配置も極めて珍しい、独創性のある指し方だと思います。(考えた人すごい)

 

 

 

ツノ銀中飛車-42角33桂の作戦

2024年1月1日正月、実家のこたつからお送りしております。今回はツノ銀中飛車の42角-33桂を軸にした作戦について考察します。

※本記事は無ソフト研究ですので内容は厳密には間違いを含んでいます、ご了承ください。

開始図

先手が穴熊を目指すなら開始図から▲98香△33桂▲99玉△62銀▲88銀△74歩▲79金△94歩(分岐図)

分岐図

後手が42角-33桂を優先するのが今回テーマの作戦です。ここから後手の狙いが明らかになります。

分岐図から▲66歩△55歩▲同歩※1△同飛▲67金※2△25飛(理想図)、後手指しやすい

理想図

このように先手の▲66歩にはその瞬間に△55歩が絶好となります。(※1.代えて67金には56歩同銀55歩65銀73銀〜64歩で銀を捕獲して後手優勢 ※2.代えて▲46銀△25飛▲26歩もありますが以下①△24飛→△45歩▲57銀△35歩や②△85飛と逃げるなどして後手持ち。)

理想図では次に▲25同飛△同桂〜△28飛で後手が一方的に桂香を取ったのち△37桂成→△47成桂の活用が約束されているため後手指しやすいでしょう。先手は▲21飛→▲11飛成で香を取れますが後手△51歩の底歩が堅いです。ちなみに理想図以下▲25飛△同桂▲27飛△24歩▲26歩には△37桂成①▲同飛△28飛,②▲同桂△39飛▲25歩△38飛成で後手良し。

 

先手が理想図を避けるために▲66歩を突かない場合を見てみましょう。まず分岐図から▲36歩で斜め棒銀を目指すのは△64角(図1)で角のラインが厳しく後手ペース。

図1⭕️

先手の本筋は分岐図から▲96歩△73桂(図2)

図2ー

後手は桂を跳ねて先手の66歩を催促します。これに対し▲66歩や▲59角なら先ほど同様に△55歩が成立します。図2から▲66歩△55歩▲同歩△同飛▲67金△95歩(図3)▲同歩△25飛▲同飛△同桂、後手良し

図3⭕️

ただし上記のように端を突き捨ててから飛車を捌くのが大事なポイントです。端の絡みがない状態で73桂を跳ねて55歩の理想図手順に入ってしまうと、55歩同歩同飛67金25飛同飛同桂86角(図4)→角交換→▲75歩同歩74歩がありこれは後手不満。

図4🔺

73桂跳ねるためには端歩をぶつけられる状態である必要があります。図3のように95歩同歩をいれておけば、86角→角交換→75歩同歩74歩に85桂→97歩と穴熊乱しつつ桂を捌けるため後手良しとなります。

 

戻って後手の73桂に対する先手66銀の展開を見ていましょう。図2から▲66銀(図5)

図5ー

以下続いて△64歩▲68角△65歩▲77銀△55歩▲同歩△同飛(図6)後手ペース

図6⭕️

後手は次に△25飛に加え△56歩→△45桂も見ておりこれは先手にとって58金型が祟っている展開です。ただし先手が仮に49金型(58歩🉑, 59金→69金🉑)であっても居飛穴66銀型vsツノ銀中飛車の将棋自体が、中飛車側が勝ちやすい印象があります。

 

以上の検討から、感覚的には後手は常に互角以上の戦いが期待できると思われます。

 

先手の対策

上記の内容でノーマル中飛車が復活してしまっては話がおかしいので、居飛車には何かしら対策が存在します。その対策というのが おそらく早期の66歩です。

開始図再掲

ここからすぐに▲66歩(図7)とするのが有効な対策です。

図7ー

後手が例えば△33桂▲65歩(図8)となって6筋の位を許してしまうと6筋の勢力負けが辛く、かつ5筋歩交換も不可になってしまいます。

図8❌

したがって後手は図7の時点で動く必要があります。

図7から△55歩▲同歩△同飛▲65歩△同飛▲78銀△33桂▲46歩(図9)△25飛▲同飛△同桂▲45歩、後手悪い

図9❌

部分的には後手のやることは理想図の手順と同じですが、本譜▲65歩〜▲46歩として左美濃+アクティブな形に持って行ったのが先手の主張です。結果として▲45歩の攻めが強烈であり、囲いの充実度の差も明らかなことから後手悪いと言わざるをえません。

また更に先手が対策するなら開始図よりさらに早く、図10のタイミングで▲66歩を突いてしまうのも有効です。

図10ー

以下△55歩▲同歩△同飛▲65歩△同飛▲56銀(図11)後手劣勢

図11❌

後手の駒組みの速度限界がここら辺です。ツノ銀は部分的に6手も手数を要する陣形なので、後手の42角-33桂が全く間に合っていません。

 

追記2024/1/2

居飛車にとって66歩が有効な対抗策ですが、中飛車にも対抗策はありそうです。図7や図10の▲66歩に対して△64歩(図12)と受けてしまうのがそれです。玉の小瓶も空き42角のラインも消えてしまうので当初は悲観していた手でした。

図12ー

以下続いて▲67金△82玉▲98香△72銀▲99玉△33桂▲88銀△55歩(図13)

図13ー

この場合は早囲いに代えて、堅く美濃に囲います。既に66歩を突かせており後手からの73桂(66歩催促)が不要なので早囲いでなくとも構いません。図13から▲55同歩△同飛▲79金△25飛(図14)これは後手良し

図14⭕️

理想図の手順で進めばやはり後手良し。

しかし後手にとって問題なのが、図13から▲55同歩に代えて▲65歩です。今までの理想図手順と違い先手の66歩〜67金が事前に整っているために生じた手です。以下は△45桂(図15)でどうでしょう。

図15ー

△45桂に▲68銀など逃げると△56歩と取り込んで次の△57歩成が受からなくなるので、先手の本筋は図15から▲55歩△57桂成▲同金△65歩▲68飛△64銀▲56金(図16)

図16ー

銀桂交換を果たせれば普通は後手良しとしたものですが、この場合は▲68飛から「位」を巡った攻防になるため事態が複雑になります。図16では次の▲65金を受ける必要がありますが△62飛は▲54桂△同銀▲同歩で後手不満。したがって後手も突っ張って図16から△24歩▲65金△同銀▲同飛△64歩▲68飛△25歩(図17)、形勢不明

図17❓

難しい勝負ですが後手も指せないことは無いでしょう。図17から▲28飛には△67金があります。手順中△24歩に対し▲28飛なら△25歩▲同飛△51飛〜△24歩▲28飛△21飛のような展開で一局? また△24歩に対し▲同歩△同角▲28飛は△23歩として①68飛を消せたこと, ②24角が先手陣を睨んでいることを加味して後手指せそうに思います。

戻って図16における△64銀▲56金の交換を入れずに△24歩(図18)もありそうです。

図18❓

前述の変化と比べて△24角が57金に当たること、また先手にカナ駒を持たせない点がメリットです。後手としてはこちらの方が良さそうに思います。

追記2024/1/5

ちなみに先手は△55歩に▲46歩(図19)でお茶を濁す指し方もありそうです。

図19

以下△56歩▲同銀△55歩▲47銀となるとヌルッと事態が収まります。後手としては5筋の位が取れたのは一応の戦果ではありますが、次△54銀だと桂頭の弱点が露呈するためこれは不可、気の利いた駒組みがありません。△63銀→△54銀右→△63金として大模様を張ってみるのはロマンありますが▲26角型との勝負はリスキーです。

現実的には、後手は図19から△94歩▲96歩△14歩▲79金△31角で次△13角〜△45歩のような果敢な展開で勝負すべきように思います。

 

まとめ

本作戦は42角-33桂を主軸にして後手から攻撃を仕掛けることを狙ったものです。先手が67歩型で穴熊に組むなら後手は互角以上。一方で、居飛車は早期の66歩突きによって本作戦への対策は可能です。これに対し後手は美濃に組んで、やや不安は残るものの一応勝負に持ち込めるというのが結論です。

振り飛車ミレニアムー△71玉の工夫

短編でアイデアを紹介します。

まず背景につきまして。居飛穴対策として振り飛車ミレニアムが一時期有力視されたことがあります。△81玉と深く潜った形(図1)は端攻めの反動を受けにくく、また6筋の当たり判定が小さいため△65歩から積極的に動きやすいのが長所です。この振りミレが棋界を席巻できなかった理由は定かではありませんが、おそらく理由の一つには対急戦への不安が挙げられるでしょう。振りミレは将来的に△81玉と潜る関係上、手損を避けるため△72玉の位置で踏ん張りたいという事情があります。それゆえ図2の局面が振り飛車持って困るところで、▲36歩に△82玉では居飛穴を続行されて顔が立たないため、結果として△54歩や△74歩など 対急戦に自信のない手を指すことになります。対急戦と対持久戦の両立に難があると言えます。

図1:四間飛車ミレニアム   図2:急戦にどうするか

そこで今回紹介するのが図3の71玉型です。

図3:テーマ図

以下急戦を狙う▲36歩△43銀▲35歩には△72飛図4)と回って勝負します。袖飛車に振り戻すための71玉型です。

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風車について(中飛車・四間飛車)

風車について語っていきます。

風車の陣形

図1:基本図

図1が風車の基本図です。全面にわたって手厚い構えとなっていて、またこれはツノ銀部分(67銀78金)の特性ですが角が8筋の防御から解放されることで駒組みにおいて自由度が高いことが特徴です。またツノ銀中飛車と比較して玉型が中央寄りとなっています。9筋の歩は相手に突かれたら突き返すのが基本です。持久戦の際に▲97角配置ができることと△42角から端を狙われた際に△91飛▲99飛△97角成などの強襲の筋を緩和するためです(相手どう見ても急戦の場合以外は突き返すのをおすすめします)。
下段飛車を実現することに限っては序盤に▲58飛としているため右玉より一手損なのですが、その代わり▲58飛には以下のようなメリットがあります。

  1. ▲55歩△同歩▲同飛△54歩▲59飛と下段飛車に構える際に一歩交換が可能。
  2. 序盤から飛車を左辺に配置しているため急戦耐性が高い。

風車側にも特有の利点があることがわかります。

次に基本図から風車の最終理想形に組み替える場合を見ていきます。

図2:▲57角    図3:最終理想形
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対振り右玉対策3 △13香△33桂の端攻め

以前投稿した「対振り右玉対策1△15角の検討」を補完する作戦。

mars2718.hateblo.jp

今回は右玉が端歩を受けてこない17歩型の場合に使える作戦を紹介します。

初手から▲26歩△34歩▲25歩△33角▲48銀△44歩▲36歩△32銀▲37桂△42飛▲46歩△43銀▲38金△62玉▲56歩△72玉▲68銀△14歩▲57銀△15歩▲47銀△13香▲48玉△12飛▲27金△32金▲58金△42角▲76歩△33桂▲26金△54歩▲29飛図1

 

 

図1:▲29飛を待つ

ざっと手順を書きましたが駒組みは適当でOKです。図1の後手陣に組むのが今回紹介する作戦です。△54歩は先手の▲29飛を待つ意味での完全な手待ちで、代えて△62銀でも問題ありません。先手は▲16歩を突かずに争点を下げて1筋を受けています。これは以前扱った△15歩▲同歩△15同角の変化を避ける意図です。

図1から△25桂図2

図2:△25桂の仕掛け

後手はこのタイミングで仕掛けます。桂の単跳ねに対し、先手は同金と同桂の2つの応手があります。順に見ていきます。

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対局における心構えのコツ

学生時代に実践していた対局における心構えは
「負ける前提で、一手差での負けを目指す」
というものです。
このマインドが良い方向に働いたのか、大会では実力以上に内容の良い将棋を指せていました。負けても内容はどれも接戦でしたし、格上相手に勝つことが何度もあったと記憶しています。当時自分まだ初段なのに24R2400の相手(だと先輩から聞いた)に勝ったりとか。

なぜこの心構えで上手くいったのかを考えてみると、まず前半の「負ける前提で」の部分には肩の力を抜く効果があります。「やってはみるけど期待はしないでよネ」という感じです。期待は原動力ではありますがそれはしばしば重荷でもあるので、期待することが必ずしもプラスになるわけでもありません。期待をほどくと、肩の荷が下りて思考が澄み渡ることがあります。

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