M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

先手78銀パックマン定跡

今回は先手番パックマン定跡の研究について紹介します。

初手▲78銀(下図)

▲78銀は対抗形の飯島流引き角を主眼としており、相居飛車では▲66歩▲67銀から旧型雁木に組むのがひとつの作戦です。その過程で▲66歩△同角のパックマン定跡を乗り越える必要があります。

56歩型の紹介

上図から△34歩▲56歩△84歩▲66歩△同角▲68飛△57角成▲76歩(下図)

仮に二手目△84歩なら▲66歩△85歩▲67銀△86歩▲同歩△同飛▲78金で旧型雁木に落ち着きます。本譜▲66歩に△85歩でも同じく▲67銀から旧型雁木です。旧型雁木については機会があれば別の記事で解説します。本譜は後手がパックマン定跡を受理した場合を見ていきます。先手は▲78銀と▲56歩と駒組みしつつ待ち、後手の△84歩を見てパックマンを持ち掛けているのが先手の主張です。△84歩を突かせた効果で例えば上図から古典的マイナー変化の❶△12飛には▲63飛成△62金▲64龍→▲84龍で84歩を咎めて先手良し、他に上図から❷△68馬▲同玉△12飛には▲38銀△72銀▲36歩△32金▲66角打~▲84角~▲66角~▲37桂~▲79玉でこちらも84歩を咎めて先手勝ちやすい展開です。

上図から△68角成▲同玉△22銀▲15角△33飛▲48銀△85歩▲77角△14歩▲33角成△同銀▲67銀△32金▲78金△42玉▲46歩△62銀▲47銀△51金▲36歩△15歩▲48金△31玉▲37桂△84飛▲66角△82飛▲77桂△86歩▲同歩△同飛▲87歩△82飛▲45桂△44銀▲65桂(下図)

[先手十分] 結果図は上手くいった場合の一例ですが、後手は先手からの飛車の打ち込みと77角ラインを両方受けることが難しく、また先手陣には角打ちの隙もないので全体的に先手が勝ちやすい展開です。△57角成の変化は全体的に先手が指せるでしょう。

戻って△57角成に代えて△44角(下図)が後手パックマン対策として有名な手です。先手パックマンにはどうでしょう。

先手が普通に進めると上図から▲63飛成△62飛▲同龍△同金▲48玉△14歩▲38玉△15歩▲28玉△33桂▲38銀△25桂(下図)

[先手劣勢] 玉を囲った先が危険地帯になり作戦負けです。端をケアする意味では金無双に囲えば一局ですが、飛車交換のコンセプトに反しており作戦失敗でしょう。

先手の修正手順として△44角▲63飛成△62飛▲同龍△同金のとき右に囲わない▲79角(下図)

▲78銀▲56歩の二手をうまく活用できている感があります。上図から△14歩▲36歩△15歩▲46角△85歩▲79金△52玉▲48銀△72金▲39金△82銀▲67銀△32銀▲49玉(下図)

[先手指せる] 上記手順の解説、△14歩~△15歩の端攻めに対し▲36歩~▲46角が1筋をケアして好形。88地点が空いたので本譜△85歩ですが、仮に△85歩以外の手であれば先手は▲68玉~▲79玉と左美濃に組んで堅さを主張してこれは先手が面白い展開でしょう。後手は△85歩で左美濃を妨害できます。本譜▲79金に代えて即▲84飛とするのも有力で以下△82飛▲同飛成△同銀▲84飛△72金▲44飛△同歩▲43角△32銀▲76角成△86歩▲79金で馬が手厚く一局。本譜は△85歩に安全策をとって▲79金、次に▲84飛~▲44飛~▲43角の狙いが残ります。本譜△52玉は43地点を受けた手ですが代えて△32銀だと▲84飛~▲22角で先手良し、△42玉だと▲84飛△82飛▲同飛成△同銀▲84飛△72金▲44飛△同歩▲61角△52飛で難解。したがって△52玉が安牌。あとは駒組み合戦で先手はelmo囲いに組んで飛車打ちの隙の無さと陣形の手厚さを両立できます。将来▲58銀と引いた形が堅く△33桂には▲35歩で先手良さそうです。一方後手は8筋の歩を伸ばした罪が重く陣形構築に苦労するため全体的に先手ペースといえそうです。

46歩型の紹介

さてここで道草をくって△44角を罠にかける46歩型(下図)も紹介しておきます。

引き角ラインが潰れて飯島流引き角ができなくなってしまうのですが、▲66歩△同角に強い耐性があるという点で興味深い変化です。上図から△84歩▲66歩△同角▲68飛△44角▲45歩(下図)

手順中▲66歩△85歩なら▲67銀から雁木/右玉で普通の将棋になります。後手は△66角~△44角ですが▲46歩の「置きエイム」が功を奏して▲45歩と小突くことができます。上図から△33角▲63飛成△62飛▲53龍△52飛▲同龍△同金左▲83飛△82飛▲同飛成△同銀▲38銀△41玉▲48玉△32玉▲39玉(下図)

[先手作戦勝ち] 後手の△44角を退かしたことで端攻めを阻止し△53歩も奪えます。上図を46歩型の結果図とします。

△62銀への対策

先手78銀パックマン定跡で▲56歩と突いて△84歩を引き出すのが今回の記事のテーマでした。しかし▲56歩△62銀(下図)が厄介です。

63地点を先受けされてしまうと▲66歩パックマンが使えません。先手は上図から▲68玉△84歩▲79玉△85歩▲76歩(下図)

案外先手も指せますか。以下△86歩▲同歩△同飛だと▲22角成△同銀▲77角の両取り(▲56歩△62銀を入れた効果)で先手優勢なので上図からは△88角成▲同玉△86歩▲同歩△86飛▲87銀△82飛▲86歩(下図)

[先手指せる] 銀冠に組んで作戦的に先手も満足、エンジン評価値は-220ですが雰囲気は悪くないです。上図以下△57角には▲55角で先手優勢、△62銀を咎めることができています。

また戻って△62銀に代えて△72銀とされると上記の銀冠に最後△83銀と繰り出されて先手不利なのですが、△72銀の場合は▲58飛(下図)と中飛車に構えてどうでしょうか。

後手は中央が手薄なので位取り阻止は無理そうで、仮に△54歩だと❶▲55歩△同歩▲76歩や❷▲96歩〜▲97角で先手有望。したがって上図からは一例△64歩▲55歩△63銀▲76歩が予想され先手は5筋位取り居飛車に組んで一局の将棋です。

おわり

ノーマル中飛車 片銀冠+△62飛 Part.2

ノーマル中飛車の居飛穴対策として片銀冠+△62飛が有力だと考えています。
前回の記事では△65歩周辺の変化について紹介しました。

mars2718.hateblo.jp

前回の結論では△62飛図1▲59角△65歩▲同歩△同飛▲66歩△61飛図2)まで進むのが妥当な進行ということでした。

図1:△62飛    図2:△61飛

今回は△61飛と引いた局面からの第二次の駒組みについて検討します。

26角型への対応

図2から▲36歩△54歩▲78金△94歩▲96歩△82玉▲26角△42角▲46歩△52金図3▲37桂△92香▲48飛△91飛図4

図3:△52金    図4:△91飛
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先手袖飛車1 角道open

先手袖飛車の角道open変化を検討します。初手▲76歩△34歩▲36歩(下図)

袖飛車の中で多数派は初手36歩や二手目72飛として袖飛車に強制誘導するタイプですが、しかしその場合は相手の「34歩不突雁木」が有名な袖飛車対策です。この記事では

・初手76歩84歩には68銀(矢倉)

・初手76歩34歩には36歩(袖飛車)👈

という矢倉との連携運用を前提として、上図のように相手の34歩が入っている場合に絞って解説します。袖飛車としては3筋の歩交換が容易なので攻撃機会を多く作れます。

上図から△84歩▲38飛△85歩▲78金△86歩▲同歩△同飛▲35歩△同歩▲同飛△82飛▲33歩(下図)

この▲33歩が今回のテーマで、実戦的に非常に強力な手です。上図から△86歩▲83歩(取ると32歩成で先手勝ち)△52飛▲85飛△72金▲38銀△42金▲86飛△33金▲75歩△54歩▲68銀△55歩▲37銀(下図)

[先手指せる] 後手の33金が瞬間的に悪形なのに対し、先手は46銀から中央に圧力をかけつつ模様よく駒組みが望めます。※途中△42金に代えて❶△33角は▲同角成△同桂で桂頭が弱点になるので先手良し。❷△42銀は▲25飛で先手良し。

戻って△86歩に代えて△42玉(下図)と受けられた場合を見ていきましょう。

32地点の利きが増えるので今度83歩は同飛で後手なんともありません。上図から▲25飛△86歩▲85歩△24歩▲同飛△85飛▲77桂△82飛▲85歩△33玉▲26飛△32玉▲75歩△87歩成▲同金△62銀▲37桂△64歩▲38銀△63銀▲58玉△44角▲86飛(下図)

[互角] 後手の玉型が露出する変化なのでノリとしては先手が勝ちやすいでしょう、▲36飛(王手)や▲34歩(垂らし)が常にあり先手に勢いがあります。ただし上図で△42金▲84歩△72金と進んでみると後手も手厚く戦えるので形勢は互角です。途中▲37桂の意図は▲86飛△55角で▲37歩を打たされる変化の予防です。

戻って、これまで見た△86歩/△42玉の他に△42金(下図)があります。

これが厄介で現在後手の最有力手です。上図から▲83歩△52飛▲85飛△33金(下図)

[後手良し] ▲83歩単体では後手の驚異にならず先手の一歩損だけが残ります。エンジン評価値は互角なのですが人間同士の対局では具体的方針の見えない先手が負けやすいでしょう。▲33歩△42金の変化は今後の研究課題とします。

戻って▲33歩の他に▲16歩(下図)を見てみましょう。

これは手渡しの意味で、例えば後手△14歩と端を付き合うと将来▲15歩が生じて袖飛車側に有利、自然なのは△32金ですが以下▲83歩△52飛▲58玉△72金▲85飛これは先ほどより33歩を省略できた形となり先手良し。後手の最善は上図から△86歩▲85歩△88角成▲同銀△87歩成▲同金△78角(下図)

[後手優勢] これはダメ。先手が回避するには▲85歩に代えて▲22角成△同銀▲88歩[互角]しかありませんが、8筋に歩を打つと攻撃性が下がるのでこの変化は先手に相応しくなく後手番袖飛車で指すべきでしょう。

戻って▲69玉(下図)はどうでしょう。

玉が戦場に近付くので怖い面もありますが前述変化の△78角を消す意味があります。

(工事中👷)

まとめ: 先手袖飛車において▲33歩が先手番を活かした手で攻撃手段に富みます。この変化にこだわるためには▲33歩△42金の克服が必要でこの点が研究課題です。▲33歩以外のスピンオフとして▲69玉は有力な手です。

m式四間飛車 VS ▲75歩型(玉頭位取り)

▲75歩(玉頭位取り)への対策についてまとめます。

初手から▲26歩△34歩▲76歩△44歩▲48銀△42飛▲68玉△62玉▲56歩△72玉▲78玉△32銀▲25歩△33角▲96歩△94歩▲58金△43銀▲57銀△62銀▲68銀△32金▲36歩△45歩▲75歩(下図)

m式四間飛車は櫛田流や石田流転換より開戦タイミングが早いので玉頭位取り「銀立ち矢倉」への対策というより単に▲75歩型への対策というニュアンスになります。

上図から△44銀▲66歩△43金▲65歩△35歩▲38飛△34金▲24歩(下図)

上図まで進み△同歩か△同金かというのが問題です。自分は多くの変化で同金と応じることが多いのですが対▲75歩型に限り「同歩」が良いというのが結論です。

先に△同金による失敗例を。上図より△同金▲35歩△同銀▲33角成△同桂▲74歩△36歩▲73歩成△同銀▲74歩(下図)

このように玉頭を戦場にされて勝率3割の世界です。過去2局経験がありますがいずれも負けています。以下△82銀(壁銀🥺)では▲28飛△43角となり苦しいですし、△74同銀でも▲55角△44角▲91角成△99角成▲77銀は厚みと金銀配置の関係で先手良しです。

このような背景から▲75歩の入った玉頭位取り相手の場合は下図▲24歩に△同歩がBetter.

上図から△同歩▲35歩△同銀▲33角成△同桂▲23角△44飛▲66銀△54歩(下図)

普通なら最後△54歩に▲55歩の追及が厳しいのですが、今回は▲75歩に一手費やしているためすぐ▲55歩なら△46歩で後手良し。先手は▲55歩の前に一度▲67銀を入れる必要があり後手に一手余裕が生まれます。この一手の余裕が▲24歩△同歩の有力になる理由です。

上図から▲67銀△27角▲39飛△38歩▲49飛△36角成▲55歩△46歩▲同歩△同銀▲54歩△47歩(下図)

[後手指しやすい] 一手の余裕で△27角から馬を作って後手も指せるというのが結論です。AI曰く△27角に▲37飛△49角成▲59金寄△36歩の飛車角取り合いもあるようですが先手も飛車を渡すのは相当怖いでしょう。また△27角に▲28飛は△49角成〜△39馬で後手良し。

上図をもって▲75歩型(玉頭位取り)への対策とします。

番外編として、32金型四間飛車から玉頭位取り対策の「櫛田流」に合流しようとする展開も見てみましょう。自分は当初これを本筋と見ていましたが結論としては後手失敗します。基本図再掲。

以下△44銀▲66歩△64歩(下図)

櫛田流はノーマル四間飛車において最も一般的な玉頭位取り対策です。まずは6筋位取りを阻止します。上図以下▲67銀△54歩▲76銀△63銀▲65歩△同歩▲同銀△64歩▲76銀△55歩▲67金(下図)

5筋を交換して54金型を目指すのが櫛田流の根幹ですが、5筋交換に対して…上図以下△56歩▲66銀△43金▲56金(下図)

[先手作戦勝ち] 中央の勢力争いで後手は後塵を喫し、結果的に▲55歩の掌握が先手の権利になります。二歩あるので▲95歩△同歩▲93歩△同香▲94歩△同香▲85銀の部分定跡も先手の権利になります。(ちなみに▲67金の局面から△43金でも▲66銀△56歩▲同金で上図と同じ局面)。後手が櫛田流合流に失敗する原因については、手順中6筋を支えるために上がった△63銀がその一因です。ノーマル四間飛車の櫛田流であればここは△63金(下図)として同じ駒で△54金に繋げることができていました。

以上の検討から△32金型四間飛車において対玉頭位取り櫛田流に合流するのは不可と結論づけられます。(終)

m式四間飛車 VS天守閣美濃

今回はm式四間での天守閣美濃対策を検討します。初手から▲26歩△34歩▲76歩△44歩▲25歩△33角▲48銀△32銀▲68玉△42飛▲56歩△62玉▲58金△72玉▲78玉△43銀▲96歩△94歩▲57銀△62銀▲86歩△32金▲87玉△45歩▲78銀(下図)

天守閣美濃の何が厄介かというと上図からm式四間34金ルートを目指せないことです。一例として上図から△44銀▲36歩△43金▲66銀△35歩▲38飛△43金▲55銀!!△36歩▲44銀△同金▲36飛となると後手の盛り上がり作戦が失敗しておりこれは先手良し。

後手の代案として▲66銀に△54歩▲79角△35歩▲同歩△32飛▲38飛△42角はありますが後手が少し無理している感があります。このような捻り合いの変化では天守閣の遠さが活きてきます。以上の背景から天守閣美濃に対して素直にm式四間は採用しにくく、追加の工夫が求められます。

先に暫定的な結論を置いておくと、天守閣美濃にはさっさと△88角成と角交換するのがシンプルな妥協案です。

以下▲同玉△33桂から❶44銀右ルート or ❷34銀ルートに進めて一局です。先手から▲33角成と取ってもらった場合と比べて多少後手が手損しますが勝率にはあまり影響しません。

 ❶44銀右ルートでは次に△35歩から仕掛けて勝負、❷34銀ルートではelmo +52銀で玉頭の当たりを緩和しつつ△39角や△38歩の揺さぶりで2筋を破って勝負です。

さて暫定の結論を紹介したところで、ここからは後手にとって明快な天守閣美濃対策を模索していきましょう。

まずは風車に切り替えて指すのが自然なアイデア。Top図から△64歩▲66銀△41飛(下図)

ちなみに風車といっても普通に組み合って仮に右図まで進むと後手からの具体的な主張や攻撃プランが無く、自分の経験的に後手の分が悪いです。後手が6筋や8筋から仕掛けて逆に自壊するのがよくあるパターンです。
したがってこのような展開を避け、後手は「6筋位取り」で33角のラインを通すのが一つのアイデアです。ひとまずこの6筋位取りを軸に検証してみましょう。
上図(41飛の局面)から▲77銀△54銀▲79角△65歩(下図)


途中▲77銀のところで▲79角でも△65歩▲77銀△63銀...で本譜と合流できますし、△54銀を省略して▲24飛-▲34飛を消せる分だけ後手が得な進行でしょう。本譜▲77銀に対して65歩の位を取るために△54銀が必要な一手になります。先に△65歩突いてしまうとすぐさま▲66歩△同歩▲同銀と反発されて6筋位取りが叶わなくなります。また早めに▲66銀がいる段階で後手△54銀出てしまうと以下▲55歩△63銀▲57金-▲56金-▲37桂が手厚く後手やや不満。したがって本譜▲77銀引を待ってから△54銀と出るのがbetterです。

上図から仮に▲24歩△同歩▲同角△44角(右図)は後手自信ある流れで、事前の△41飛のおかげで△44角と躱(かわ)せます。一例として右図から▲57角△26歩▲36歩△33桂▲35歩△21飛▲34歩△27歩成▲33歩成△同金▲48飛△37歩▲39歩△38と▲同歩△29飛成▲37歩△19龍(図は省略)で後手優勢。

本譜上図(65歩の局面)から▲36歩△63銀▲35歩△同歩▲同角△62金▲57角△74歩▲98玉△73桂▲87銀△81飛▲78金△84歩▲88金(下図)

上図の▲88金後手から仕掛けが成立します。△85歩▲同歩△95歩▲同歩△75歩▲同歩△85桂▲86銀△97歩▲同桂△同桂成▲同銀(※▲同玉..)△95香▲96歩△85桂▲86銀△97歩▲89玉△76歩▲69桂△96香▲同銀△77桂成▲同銀△同歩成▲同桂△76歩(下図)後手優勢。

先手が全部自然に応じると後手が良くなります。途中△97同桂成に対して▲同玉もありますが△85桂▲98玉△95香▲96歩△97歩▲89玉△76歩で結局本譜と合流します。

少し戻って先手の修正手順、先ほど▲88金のところは▲68金寄りの方が手堅いでしょう。

ここです問題は。上図から後手が攻めると△85歩▲同歩△95歩▲同歩△75歩▲同歩△85桂▲86歩△97歩▲同桂△77桂▲同金(下図)先手良し


玉頭戦では厚みを握ることが非常に大事で、7,8,9筋を手厚く収めた先手が指しやすいと思います。後手不満なので▲68金まで戻ります。

ここで後手が銀多田を目指すのはどうでしょうか。上図から△64銀▲26飛△63銀▲36飛△54歩▲37桂(下図)先手十分

銀多田は好形ですがそれよりも先手の36飛+37桂が好形で形勢は先手十分。

ここらで後手6筋位取りの限界点が見えてきました。根本的に4枚銀冠に対して上部からアプローチするのが間違いです。上部から攻めたり厚みで対抗するのでは銀冠に敵(かな)いません。

仕切り直して基本図に戻ります。

大きく方向転換、右辺で手厚く押さえ込む方針でいきましょう。以下△52金▲66銀△35歩▲79角△34銀(下図)

四枚美濃には好きに組ませる代わりに3筋位取りで居飛車の右辺を圧迫します。(脇道変化:上図から▲36歩△同歩▲24歩△同歩▲同角△41飛→❶▲33角成△同桂▲21角△42金右(後手良し)/→❷▲57角△54歩▲35歩△43銀▲26飛△44角▲36飛△28歩▲37桂△29歩成▲45桂△19と▲34歩△23金▲33歩成△同桂▲同桂成△同金(後手指せる))

上図以下▲77銀引△43金左▲66歩△64歩▲67金△74歩▲98玉△63銀▲87銀△73桂▲78金△22飛▲88玉△44角▲98香△33桂(下図)

後手のポイントとして先手の▲66銀→▲77銀の挙動を見てから△35歩→△34銀と組むのが大事です。例えば上図で先手▲57銀型だった場合は▲46歩から44角や35地点を攻撃されます。先手の銀が左辺の守りに就く天守閣美濃に限定で、上図のような3筋位取りが対策として使えます。上図以下▲99玉△25銀▲46歩△34銀▲45歩△同銀▲48飛△54歩(下図)後手指せる

後手は25歩を食べてからゆっくり△24歩〜△25歩を目指します。先手は動く必要がありますが上図となると後手の2-4筋が充実しており、守備に余裕があるため後手が勝ちやすい印象です。

上図を最終結論として、天守閣美濃対策としたいと思います。

先手旧型雁木

旧型雁木(88角型)の最序盤を研究します。

77角型の新型雁木であれば後手番でも誘導成功率100%ですがこれには早繰り銀速攻が厄介な相手。77角と上がると△72飛〜△75歩▲同歩▲84銀の攻めに対して当たりが強くなってしまう嫌いがあります。これを避ける意味で88角を据え置いて、古風な二枚銀雁木をやろうというのが研究の背景です。

まず普通にやると何が問題かと申しますと、初手から▲76歩△84歩▲78金△85歩▲66歩△86歩▲同歩△同飛▲68銀△76飛(下図)

横歩を取られて失敗。即行で飛車先を詰められると雁木の受けが間に合わないのです。昔の矢倉最盛期では飛車先を保留するのが世の常でしたが、現代将棋では飛車先を躊躇なく決めてくるので旧型雁木には不遇の時代です。

では先手の工夫として76歩を省略するのはどうか。初手から▲78金△84歩▲68銀△85歩▲66歩△86歩▲同歩△同飛▲67銀(下図)

うまく行きました…が、しかし手順中に問題があり▲68銀に対して△34歩(下図)

このタイミングで角道を開けられると▲76歩も▲66歩も突けなくなるので失敗。

仕切り直します。▲66歩を先に突いておきましょう。初手から▲78金△84歩▲66歩!(下図)

これなら以下△34歩▲76歩△85歩▲68銀△86歩▲同歩△同飛▲67銀(下図)

成功です。以下は△82飛▲87歩で旧型雁木の駒組みに続きます。

戻って▲66歩

これに△85歩でも▲68銀△86歩▲同歩△同飛▲67銀(下図)

これも成功です。以下△82飛▲87歩と進めば前述と同じく旧型雁木の駒組みに続きます。もし上図から△87歩と噛み付かれるなら▲79角△34歩▲56歩△72銀▲57角△64歩▲76銀△82飛▲87金△63銀▲88飛△54銀▲48玉△74歩▲38玉(下図)

向飛車+美濃を目指して先手十分です。目当ての旧型雁木からは外れますが一歩得なので良しとしましょう。

以上のように先手番においては88角型の旧型雁木にほぼ確実に組めることがわかりました。有効性や旧型雁木の戦い方についてはまた別の記事で検討します。

おわり

自戦記 右四間vs宗歩型

2025年2月2日(日)地元の将棋大会にて

先手: Mars

後手: 前回優勝おじさん

初手から▲76歩△84歩▲66歩△34歩▲68飛△62銀▲48玉△64歩▲38玉△63銀▲48銀(下図)

相手は右四間飛車です。振り飛車が先手であることと後手が△84歩に一手掛けている点で振り飛車の条件が良いわけですが、実戦的には完全に互角ですね。こちらは宗歩型右四間対策を選択。

上図から△62飛▲56歩△54銀▲57銀△42玉▲48金△52金▲36歩△32銀▲37桂(下図)

右銀は37地点を経由して46銀と出すルートもありますが、今回は急戦耐性を重視して57銀経由にしてみました。▲37桂を見ておじさん頭をかく。珍しい形で楽しんでもらえているなら何より。

上図から△31玉▲16歩△14歩▲46銀△65歩(下図)

実は途中▲16歩と端歩を打診した瞬間が少し危なく、もし△35歩▲同歩△65歩から一歩持って△36歩を狙われると大変忙しい将棋になっていました。本譜は挨拶してもらい△65歩、この手はややありがたいと思っていました。というのも、本譜上図から▲同歩△88角成▲同銀△65銀▲63歩(下図)

教科書通りの63歩叩きが入り部分的には優勢。しかし局面全体としてはそうでもなかったようで、本譜上図から△同飛▲72角△62飛▲81角成△66歩(下図)

ゆったり△66歩と垂らされて困りました。次の⑴△67歩成 ⑵△56銀 ⑶△67角がどれも厳しい。先ほどの▲63歩叩きは正着でしょうが陣形的な打たれ弱さが響いてトータル互角になっています。本譜上図から▲71馬△63飛▲72馬△67角▲77桂(下図)

手順中91香を取っていては6筋潰されて勝てないので飛車を追います。最後▲77桂は▲55桂と迷いました。ただ▲55桂は△64飛▲73馬△89角成の強手が見えて危なくて付き合いきれないと判断、また飛車の取り合いになるなら63地点の方が△同金と釣れるぶんだけ得と考えて本譜▲77桂を選択。上図から△56銀▲63馬△同金▲61飛△52角▲91飛成△76馬(下図)

手順中△56銀では△56馬とされても嫌でした。本譜は銀を逃げて上図まで進みました。対局中は63金と吊り上げて△52角を打たせた形は振り飛車有利だと見ていましたが、あとあと観戦者含めて検討すると後手の△61歩打ちが強い一手になることからこの場合の△52角の形は後手にも十分主張があるという結論でした。将棋は奥深いですね。とはいえ、後手の△52角投資+△61歩が成立するのも上図△76角成が強烈に厳しいからというもの。対応間違えると将棋が終わります。本譜上図から▲58飛△同馬▲同金寄△67歩成▲48金(下図)

本譜の流れがおそらく唯一の最適解で、代えて▲58金上で取ると△67歩▲59金△89飛▲49金△88飛成で振り飛車劣勢。69金を維持するのが大事なポイントで仮に上図から△68歩には▲59金△89飛▲49金△88飛成、このとき△68歩を打たせた効果で二段目の利きが遮られているという寸法です。居飛車側の修正手順として△89飛▲49金△69歩成で勝負形と見ていました。ところが本譜は上図から△77と▲同銀△44桂(下図)

これは打たれて事故ったと思った局面。次の△36桂〜△28飛を形良く受ける手段がなく、また後手には堅陣の左美濃と△62金〜△74角〜△61歩など「攻守の増援」が利きます。本譜上図から▲28桂△15歩(下図)

▲28桂はこの一手の受け、本来は26に打ちたい桂なのでこの交換はヤラれた感があります。続く△15歩も非常に筋の良い攻めで▲同歩なら△18歩〜△19飛を狙っています。本譜上図から▲25桂△16歩▲13歩(下図)

勝てるとしたら▲25桂。端の攻め合いに活路を見いだします。▲25桂に対し△24歩は⑴▲33香や⑵▲23香△同銀▲33角ぶち込みが怖くて流石にやってこないと思いました。本譜上図から△17歩成▲同香△19飛▲12香!(下図)

「どっちか取れやあぁ(๑º口º๑)!! 」と言っておきつつ▲12香で急かすのが実戦的な手です。意外と69金を取られても37地点に玉逃げた形が捕まえづらく、17香を取るのも単純に効果が薄い。そのためどちらを取られたとしても意外と指せる認識でした。本譜上図から△18飛成▲37銀△33桂▲同桂成△同銀▲25桂△24銀▲33角(下図)

注目のどちらを取るか問題に対し本譜「どちらも取らない」という第三の選択が返ってきました。△18飛成は次の△36桂を見せた捻った手でしたが、ただ▲37銀との交換は明らかに振り飛車側の得。続く△33桂も上図まで行くと傷を広げる結果となり、本譜上図からは△33銀▲同桂成△26桂▲同銀△29角▲49玉(下図)まで後手投了となりました。

後手投了

総評: 宗歩型の右四間対策は対急戦において非常にRiskyだということがわかりました。ソフト評価で互角でも人間的に怖い変化がたくさん潜んでいます。本局ソフト解析によると振り飛車側は仕掛けから終盤に至るほぼ全て最善次善手で好評。指し手としても「勝利の女神は勇者に微笑む」という言葉がありますが特に▲25桂からの一連の手順はそれを体現したような結果になりました。