M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

自戦記 m式四間飛車

今回はm式四間飛車棋譜を取り上げます。ちなみに最近このブログの書き方を模索していて、今まで棋譜の本譜は「76歩84歩」と書いていたのですが今回は試しに「▲76歩△84歩」と書いてみます。

エスト10切れ

先手:Mars_54E(2369)

後手:Onikudaisuki(2300)

初手から▲76歩△84歩▲66歩△85歩▲77角△34歩▲78銀△62銀▲67銀△42玉▲78金△52金▲68飛図1

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図1:序盤

▲67銀~▲78金を優先して見かけ上の揺さぶりをかけてみました。あまり意味はないです。「いないな~い、ばー」程度です。ちなみにこの序盤では新型雁木を見せて△74歩(早繰り銀)を引き出す将棋もあり得るところですね。ただしm式の場合は相手の△74歩があってもなくてもどちらでも対応できるので、あまり関係ないと思います。

図1から△32玉▲48玉△54歩▲38玉△53銀▲48銀△14歩▲16歩△42銀▲65歩図2

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図2:65歩

相手は△42銀という昭和な手を選びました。これに対して本譜はm式四間飛車の趣旨に従って▲65歩と突きましたが、ここは正しく指すなら▲46歩から普通に風車っぽく指すべきでした。というのも▲65歩に△55歩▲56歩△同歩▲58飛から以前紹介した5筋位取りの展開(↓)に合流したとき、将来的に▲65歩がかすめ取られる筋が生じて負担になりかねないんですよ。さいわい本譜は別の展開になりました。

mars2718.hateblo.jp

 

図2から△44歩▲66銀△74歩▲67金△45歩▲75歩△72飛▲76金図3

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図3:76金

ここらへんは毎度おなじみの手順。▲66銀~▲67金~▲75歩~▲76金が本戦法のアイデンティティです。いつもと違う点としましては、今回は居飛車が32玉型なので図3▲76金に対して

△75歩▲同銀△77角成▲同桂△86歩▲同金

△33角▲78歩△82飛▲76角・・・(参考図1

△87角▲66飛△78角成▲74歩△44銀▲56歩・・・(参考図2

と進む可能性がありました。この変化は正直かなりイヤです。

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参考図1:86同金の変化   参考図2:86同歩の変化

本譜はそうは進まず・・・

図3から△43銀▲74歩△同飛▲75銀△72飛▲74歩△77角成▲同桂△55歩図4

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図4:55歩

振り飛車の左桂が捌けやすいのがm式四間飛車の主張の一つです。

さて図4からは▲85桂からさっさと仕掛けるのも考えられますが、結論から言うと本譜ではそれを選びませんでした。図4から▲85桂の場合、一例は以下△54銀▲86歩(参考図3)。

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参考図3:86歩

最後▲86歩を入れずに単に▲73歩成△同桂▲同桂成△同飛▲82角は△83飛が痛すぎるので、▲85桂と跳ねれば▲86歩までがセットです。手数がかかるのに加えて、桂交換したとしてもそれは寧ろ4筋に厚みのある居飛車側に有利に働くので、あまり好んで7筋を触りたいわけではないです・・・

また、参考図3からは具体的には△46歩▲同歩△56歩▲同歩△79角▲78飛△46角成▲47銀△24馬参考図4)という手順が見えていて、次に▲46歩と埋めても△45歩▲同歩△46歩で4筋が潰されます。

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参考図4:24馬

よって本譜では図4からの▲85桂を却下。

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図4:再掲

図4から▲58金△54銀▲85桂△46歩▲同歩△56歩▲同歩△79角▲78飛△46角成▲66金図5)と進みました。

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図5:66金

この▲66金は疑問手で、本譜は相手に見逃してもらいましたが△65銀(参考図5)がありました。

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参考図5:65銀

取ると王手飛車なので、以下一例は▲46歩△66銀▲46歩△77歩▲68飛△75銀ぐらいですが、これは居飛車ペースでしょう。

▲66金では正しくは▲57銀△24馬▲66金(参考図6)と指すべきでした。これが事前に▲58金と上げておいた効果で、銀を5筋に出せたことで4筋の当たりを緩和できます。桂ぴょんぴょんは銀に当たりますが、△33桂には▲46歩で次の▲55歩が速いそうです(byソフト) ▲76金を上手く中央に活用できているので振り飛車側が満足だと思います。

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参考図6:57銀~66金

さて本譜に戻ります。

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図5:再掲

本譜は図5から△33桂▲47歩△45馬▲86銀△42金▲73歩成△71飛▲72と△21飛▲81と△24歩▲91と△25歩図6

 

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図6:25歩

ここらへんは中盤なのでざっくり進めます。自分の経験としては、m式四間飛車はわりとラクに6,7,8筋を支配できることが多いです。しかし本譜のように居飛車駒損ながら2,3,4筋に回って手を作られる展開になると勝負形になります。振り飛車側は得た駒を投資して、上手く凌ぐ必要があります。理想としては玉を安全な7,8筋方面に避難させたいのですが、逃げると2筋や4筋が潰れてかえって危なくなる場合も多く、なかなか難しい将棋になることが多いです。

図6から▲46香△35馬▲43香成△同銀▲36銀△53馬▲57角△22香▲49玉図7

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図7:49玉

▲57角の自陣角で次の△35歩(銀が死亡)を受けつつ、▲24歩や▲24桂を見て2筋攻めを緩和しました。

図7から△44銀▲46歩△26歩▲同歩△35歩▲47銀△26香▲22歩△同飛▲34桂△23飛▲42桂成△同金▲34金△25飛▲17桂△21飛▲24歩△22歩▲55金△投了図8

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図8:55金まで投了

終盤は相手の方のウッカリで形勢が崩れてしまいました。

 

勝ちはしたものの、玉頭戦への対策はもう少し準備する必要性を感じました。本譜とは別の将棋ですが、升田美濃から△24歩~△25歩と玉頭に圧力をかけられることもたまにあります。または高美濃から△42飛~△33金~△46歩で▲76金に十字飛車かけられるのも多いです。
4筋攻めには48銀49金の「壁囲い」、2筋攻めには48金39銀の「大隅囲い」を使い分けることができたらな~・・・などと思案しています。

 

おしまい