ノマ中飛車の新たな居飛穴対策として片銀冠+△62飛を提唱します。
△62飛の構想は小林健二氏(上写真)の著書「スーパー四間飛車」にて紹介されています。本作戦はノマ中飛車からこれに合流しようというものです。
ただしこの棋書で紹介されている構想は四間飛車から派生しているため△52金~△41飛~△61飛と手損していたり△82玉と入城してあったりします。本作戦では駒組みを効率化しその点を少し改良、また△71玉型として6筋戦闘の当たりを避ける工夫を加えました。△71玉型銀冠の構想は あべしん氏 を参考にしました。↓
そしてこの片銀冠+△62飛の陣形、ソフトにかけるとすこぶる評価値が良いのです。※ソフトの種類によっては低評価されます。
それでは具体的な研究手順を解説していきます。
初手から▲26歩△34歩▲76歩△44歩▲48銀△42銀▲25歩△33角▲56歩△52飛▲68玉△62玉▲78玉△72銀▲58銀△71玉▲57銀△43銀▲77角△64歩▲88玉△74歩▲98香△73桂(図1)
ポイントとしては将来の△54銀を用意して5筋を突かないことです(英ちゃん流中飛車)また図1から▲66銀とされた場合は△63銀~ツノ銀中飛車に組んで後手に不満なし
66銀型の居飛穴は7筋歩交換や2筋角交換といった軽い攻めが中心になるのでツノ銀中飛車で抑え込み勝ちが見込めます。
図1から▲66歩△84歩▲99玉△83銀▲88玉△72金▲67金△62飛(図2)
△62飛が本戦法の趣旨です。後手は△65歩を狙っているためここから先手には▲59角・▲78金の2つの手が考えられます。順に見ていきましょう。
▲59角(図3)
これは後手の△65歩に対して▲同歩と取れるようにした手です。△65歩を▲同歩と取れないと後手からいつでも△66歩▲同銀△45歩などの権利があり、居飛車としては気持ちが悪いところでしょう。
図3から△65歩▲同歩△同飛▲66歩△61飛▲78金△52金(図4)一局の将棋
後手は6筋歩交換から△61飛と引いて第二次駒組みに移ります。長期的には空いた64地点を利用して
❶△54歩~△42角~△64角
❷△54銀~△63銀~△64銀
といった自由度の高い駒組みが可能です。先手の陣形によっては△54銀~△45歩~△65歩▲同歩△同銀▲66歩△同銀から単純な6筋突破も成立するかもしれません。
指し手が広いので図4以降の指し方はまたの機会に。(というか自分まだスーパー四間飛車読んだことがないので、そこに何か方針のヒントがあるかも?)
▲78金(図5)
この手は後手の6筋歩交換に対して「許さん」とばかりに反撃する意味です。
図5から△65歩▲86角(図6)
▲86角と出るのが機敏な手で、次の▲53角成を狙うと同時に▲65歩を可能にしています。ちなみに仮に後手が△82玉型だった場合は▲86角に代えて△65同歩▲同桂△55角~△66銀で先手良しとなります。
図6から△52金▲65歩△同飛▲24歩△同角▲22歩△33桂▲21歩成△57角成▲同金△45桂(図7)
先手は▲24歩~▲22歩を狙って反撃します。もし後手が41金型ならば▲24歩△同歩▲22歩△同角▲24飛△32金として後手が指せるのですが、本譜では直前に▲86角△52金の交換が入っているためこの最後△32金の受けがなく、▲24歩△同角が後手の唯一手になります。
また手順中、先手は▲21歩成のところで▲66銀とすれば後手の角切りを避けれますが、その場合は△61飛で次の▲21歩成を受けて後手良しとなります。
本譜、図7となって本譜後手は▲22歩~▲21歩成は許しますが手厚い陣形を活かして6筋突破を目指します。
図7から▲67金△66歩▲68金△67銀(図8)
手順中▲67金に代えて▲58金も十分あり、以下△69銀▲68金右△78銀成▲同金△66歩▲77桂からこれも下記本譜と同じような展開になることが予想されます。
❶図8から▲77桂△61飛▲11と△78銀成▲同金△57桂成▲64香△11飛(図9)評価値互角だが難解
❷図8から▲77桂△62飛!▲11と△78銀成▲同金△67歩成!▲64香△78と▲62香成△同金左▲78飛△52銀(図10)後手良し
先手は▲77桂~▲64香が唯一の受けです。これに対し後手には❶❷の手順が考えられます。❶△57桂として着実に△67歩成としたければ事前に△61飛と深く引いておき△11飛と逃げて図9に。❷△67歩成から穴熊を削っておきたければ事前に△62飛と引いておき▲62香成△同金~△52銀(図10)と自陣を引き締めて戦います。ソフト評価値では後手にとって❶が+200ほど優るようですが図9からは▲89角と粘る手もあり、人間的には❷が良いと思います。
後手としてこのような勝負を避けようと思ったら、そもそも▲78金に対して△65歩を急がず、じっくり△52金(図12)と陣形を整えておく手もありますね。
図12から先手の有効手は▲59角ぐらいなので、以下△65歩▲同歩△同飛▲66歩△61飛となり図4に合流できます。
⇦図4
ただし、では上記の▲86角~の議論が無駄だったかというとそうではなく、図12から▲59角△65歩▲同歩△同飛▲24歩(図13)この変化で▲86角の議論が役立ちます。
この場合は▲86角がいないので後の▲64香がなく後手優勢となります。
図13から△24同角▲22歩△33桂▲21歩成△57角成▲同金△45桂▲67金△66歩▲68金△67銀(図14)後手優勢
以上
今回は△65歩周辺の変化について解説しました。
次回は▲59角~△61飛からの第二次駒組みに関して検討できればなと思います。