今回はツノ銀四間から見た66角系統への対策を紹介します。
ミレニアム対策
△45歩(図1)で振り飛車から角交換を迫る手が有力です。
素直に角交換になるとm式四間の34銀ルート(参考図1)もしくは44銀右ルート(参考図2)に合流できるため後手満足の展開だと思います。
図1からは▲57角が自然で、以下△54歩▲36歩△55歩(図2)これは形勢互角ながら5筋の歩が切れるのは後手のポイントだと思います。
もし先手が▲36歩に代えて囲いを優先してきた場合は図3の陣形に組むのが独自研究で、後手の動きの自由度が高く互角の展開。
また他には、Shodan7さんのミレニアム vs 32金型四間の動画
この動画で紹介されている▲57銀に対するMy定跡は、以下△44銀(図4)▲36歩△54歩▲68金△55歩▲58飛△64歩(図5)
図5となると後手がだいぶ指しやすいと思います。先手は途中▲75角△52飛を入れることはできますが、いずれにせよ後手が5筋のコントロールを握っているので後手にこれといった不満は無いと思います。
地下鉄飛車対策
基本的にはミレニアム対策と同じ対策が通用するので一般的な地下鉄はそれほど怖くありません。ここでは▲47銀型の地下鉄飛車への対策を検討します。
▲47銀型の狙いは後手からの反撃を封じることにあります。8,9筋から一方的に動いてリードを生み出すという思想です。
第一案
図6から△51角。これは先手からの▲98香~▲99飛~▲95歩を受けた手です。この将棋は過去の自戦記(下記リンク↓)をご参照ください。結論だけ言うと▲85歩~▲7筋歩交換~▲76銀となって後手とても勝ち難いです。
第二案
△92香~△91飛~△65歩(図7)
この構想は9筋を互角で済ませ、以下△65歩~△64銀で中央の模様を良くする狙いです。ただし結論をいうと先手有利の展開になります。
図7から▲95歩△同歩▲65桂△同銀(or桂)▲93歩△同香▲同角成△同飛▲95香(図8)
これは先手勝勢です。事前に▲48角と引いてあるのがポイントで、▲65桂△同桂の当たりを避けています。ソフトによる後手の最善は▲65桂△同銀に代えて△85桂で、この場合は図8に相当する局面から△98歩▲93香成となって際どい形勢になるようです。ただ微妙な形の変化が後手玉の生死に直結するため、後手が自ら進んで指すような将棋ではありません。
第三案
△65歩(図10)~△64銀~△72飛(図11)
これが最も有力だと思います。△63玉か△82玉か△71玉かはお好みで。いずれにしても先手は7筋棒銀という単純な狙いが受けづらく、実戦的には後手が勝ちやすそうに見えます。ただし後手が対応を間違えるとソフト的に先手有利の変化があるようで、図11から▲45歩△同歩▲24歩△同歩▲同角△同角▲同飛△23歩▲41角△52角▲32角成△24歩▲21馬△39飛(図12)
評価値先手+600 この手順は人力でも把握していて、感覚的には後手持ちだったので意外でした。図12からは▲11角成△37飛成▲55歩△同銀直▲56桂らしいです。
後手がこの変化を避けて△24同角のところで△44角(図13)と交わせば互角です。
図13から先手が攻めるなら▲51角成△同金▲21飛成△52飛▲55桂△72玉▲24歩△12角(図14)
後手優勢。ただし△72玉のところで△62玉と逃げてしまうと最後△12角に▲同龍△同香▲82角△55銀右...で少し紛れるようです。
追記2022/8/21
図11に代えて、先手には7筋を無視する手段(図13)もあるようです。
図15から△75歩▲同歩△同銀▲95歩△同歩▲99飛△76歩▲85桂△84銀▲86歩△52玉(図16)
途中▲85桂に対して後手△45歩もないわけではありませんが、以下▲同桂△88角成▲同玉△77歩成▲同金△76歩▲78金△77銀▲79玉△78銀成▲同玉△77歩成▲69玉...などとなり、玉を逃がして難解になります。
本譜△84銀が最も無難な手だと思います。▲73歩を防ぐ意味では△84銀に代えて△74飛もありますが、何かの時に▲75角△同飛▲86銀が見えていて先手に余計な「耐え」を与えるぶん劣ります。
ミレニアム、地下鉄対策は以上です。