M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

筋違い角対策

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今回は筋違い角について「相筋違い角+振り飛車」という対策を紹介します。

まずは基礎知識から復習です。

羽生流

最も有名かつ有力な筋違い角対策です。

トップ図から△62銀▲34角△32金▲66歩図1△64歩▲68飛△63銀▲88銀△54銀▲77銀△44歩▲76角△45歩▲48玉△33銀▲38玉△34銀▲58銀△43金図2

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図1:66歩    図2:43金

図2からは△22飛と回って居玉のまま2,3筋で手を作ります。これがあるためにプロ間では筋違い角は通用しないとされています。棋譜は以下です。

shogidb2.com

しかし実際問題 筋違い角使いも全力でこの展開を研究してきますし、個人的には6筋の争点が不満です。筋違い角使いは争点の扱いに長けているイメージがあるので、できるだけ戦線を下げて2,3,4筋に局地化したいところです。

8手目△64歩

ハメ手を含む好戦的な指し方です。

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図3:64歩    図4:65歩

これもそこそこ有力な対策です。図4から仮に▲同歩なら△66角で後手優勢・・・ではなく厳密には以下▲58飛△99角成▲88銀△98馬▲77銀△99馬▲88銀で千日手です。ただし千日手になれば先後入れ替えて▲76歩△34歩▲66歩で筋違い角を封じれるため、実質対策成功と言えます。なので先手も▲65同歩のところでは▲68飛△66歩▲78金△62飛~▲77銀と進んで互角になります。このページで解説されています。

note.com

またこの2chのスレ↓でも議論されています。これによると先手としては図4のように▲66歩と突く手段以外にも、67歩型で△65歩の位を取らせて▲68飛▲77銀▲56角から65歩奪還を狙う手段もあるようです。

game9.5ch.net

 

6手目△85角(相筋違い角)

一歩損が嫌いなあなたに。

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図5:85角    図6:44歩

図5から▲34角△76角▲88銀△44歩図6)と進めば後手は単純な一手得で、棋風的に角の筋に不満がなければ後手持ちの局面でしょう。先手後手同形なので形勢は互角です。ただし図5から▲78飛△33銀▲75歩図7

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図7:75歩

こうなると後手は角の処置に困ります。僕としては相手振り飛車・自分居飛車の展開に不満があるのでこの△85角の案はボツです(>_<)

 

△52金左~△65角(相筋違い角)

本題のオリジナル対策。一歩取り返し、かつ振り飛車に組む構想です。

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図8:65角

図8から▲48銀△76角▲88銀△44歩▲66歩△32角▲78角△64歩▲26歩△33銀▲25歩△63金図9▲46歩△42飛▲47銀△62玉▲58金△72玉▲68玉△82玉▲79玉△72銀図10

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図9:63金    図10:72銀

後手が振り飛車+高美濃に組めるというのが最大の主張です。6手目△52金により△63金を用意し、相筋違い角~△32角~△33銀で2,3筋を支えます。図9から本譜▲46歩~▲47銀は絶対手で、例えば図9から▲58金なら△42飛▲46歩△54金▲47銀△45歩で後手満足です。(△42飛〜△45歩となると後手の模様が良くなります。)

先手は堅く囲えないので、陣形差で後手が指しやすいと思います。例えば先手からの有効な攻めとしては・・・

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図11:34歩    図12:22銀

図11から△22銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛△84歩▲33歩成△同銀▲23角成△同角▲同飛成△22飛▲同龍△同銀図12

これで後手やや指しやすいようです。本来2筋に銀が残る捌きができるのはレグスぺぐらいのものですが、今回は先手の陣形が酷いので成立するようです。

もしこの展開が気に入らなければ・・・

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図13:54金    図14:54角

図13:△54金▲35歩△45歩や、図14:△54角▲35歩(▲23角成)△45歩▲同歩△同角でも後手指しやすいようです。

 

戻ってそもそも先手には▲48飛~▲88飛という手があります。

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図15:48飛    図16:88飛

これは相振りになります。図16以下は自然に進んで図17

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図17:45歩

矢倉の好き嫌いによって形勢判断は変わりそうですが、僕は後手持って指したいです。矢倉に対して先手の筋違い角は使いずらそうなので先手も図17から▲76角あたりでしょうが、△54歩と拒否しておいてどうでしょうか。後手の憂いは△22銀なので、これを働かせるまでは戦いは避けたいところです。

2022/12/16追記

ツノ銀振り飛車っぽく抑え込む展開にするには図8↓から▲48銀△76角▲88銀△44歩▲26歩△32角▲66歩△33銀▲78角△43金▲25歩△42飛▲58金△54金▲68玉△45歩図18

図8:△65角   図18:54金45歩確保

このように即行で4筋の位を確保する指し方もあります。まぁ先手も25歩を保留して▲46歩▲56銀を間に合わせてくることは可能なのですが、初見ではそこまで警戒されないハズなので大抵は4筋の位を取れると思います。以下先手は穴熊、後手は銀冠(または木村美濃)に組むのが一例です。→図19

図19:△38歩

4筋歩交換が後手の権利になっており、先手はこれの防ぎ方に困ります。▲56歩▲57銀の形だと▲78角が使いにくいですし、本譜▲26飛だと右銀が離れた瞬間に△38歩が激痛となります。やや後手が指しやすい展開だと思います。△54金が△32角のラインを塞いでしまっているようにも見えますが、△64金・△44金・△55金などとして必要に応じて角道を開けることができます。54金型が手厚く柔軟性のある形だという主張ですが、評価は人によりそう...(´・_・`)

先手としては本譜以外に角を右辺に引いて▲16角・▲27角のラインで使ってくる構想も考えられるところです。

おわり