M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

左玉の基礎知識

今回からしばらく左玉について検討します。

僕は2020年3月~2021年9月にかけて相振りでは54金型向飛車をメインに採用していましたが、ここにきて左玉をメインにしようと思い始めているんですよね。いわゆる「歩越し銀」の形があまり好きではなく、僕はどちらかというと歩の後ろに銀がいるような陣形を好みます。54金型向飛車はその点で自分の棋風に合わないと思い始めました。そこそこ優秀ではあるんですけど。そういう理由があって、まず今回は左玉についての基礎知識を確認します。

 

本題に移ります。

左玉は「玉を左に囲い、飛車を左かつ下段に置き、厚みを主張に戦う戦法」の総称です。なので左玉の陣形に厳密な定義はなく、いろいろな種類の左玉があります。ここでは代表的なものを紹介します。

7筋位取り型左玉

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7筋位取り型は玉頭の厚みに優れた陣形です。またもう一つの特徴として再現性の高さがあります。基本的に7筋の位は6筋よりも取りやすいため、7筋位取り型は後述の高田流や銀多伝よりも単体で採用することに適しています。デメリットとしては△44銀△54歩~△55歩▲同歩△同銀▲56歩△66銀の攻めを防ぐため事前に▲57銀の備えを強要されることがあり、この場合▲68角の稼働率に不満が出ます。▲57銀に代えて▲57角なら稼働率は維持できますが今度は▲48銀の活用に困ります。また玉頭が厚いかわりに玉の腹が空いているので、横からの攻めに不安があります。

高田流左玉

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高田流は左玉の理想形です。角の稼働率が非常に良く、9筋の端攻めや相手の攻撃陣の牽制に利いています。組めれば互角以上です。ただし実際問題として組み上がって安定するまでが長く、特に▲66角のカバーに苦労します。例えば相手に一歩あるときは△43銀~△64歩▲同歩△65歩▲同桂△54銀という攻めが厄介です。序盤に6筋の位を取れるかどうかで、前述の7筋位取り型と使い分けるのが一般的です。

銀多伝左玉

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66銀67銀の形は弱点が少なく防御に優れた構えです。角の稼働率では高田流に劣りますが、二枚銀による6筋の安定性が特徴です。攻める場合は▲75銀から動いていくことになりそうです。これも序盤に6筋の位を取れるかどうかで前述の7筋位取り型と使い分けるのが一般的です。

 

左玉の対策としては棒銀が有名です。個人的にはこのサイトで紹介されている棒銀が厄介だと思っています。左玉は陣形が完成するまで脆(もろ)いので、形勢以上に実戦的にも左玉側が勝ちにくそうです。

sangensoft.hatenablog.com

次回の記事からは ①序盤の安定性 ②棒銀対策 などの観点から検討していこうと思います。