M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

m式四間飛車 VS 46銀37桂26飛

このページではm式四間飛車 VS 46銀37桂26飛について見ていきます。

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図1:紹介

いきなり余談ですが、この「46銀37桂26飛の仕掛け」は、果たして何と呼ぶのが正しいのでしょうね。誰か納得のいく名前を付けてあげて欲しいところです。

 

ではさっそく、具体的な局面を挙げて考えていきましょう。

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図2:手数確認

厳密に最善手を検討し始めるとキリがないのでここでは最善にこだわらず、いろんな進行を見ていくことにします。また形勢判断に評価値を用いたりソフトの読み筋を記載する場合には、その旨を但し書きすることにします。

46銀37桂26飛に対する後手の対抗手段は大きく分けて2通りに別けることができます。

  • 45歩 (反発する)
  • 33金 (均衡を保つ)

また後手の囲いにも2つの選択肢があります。

  • 金美濃→木村美濃(堅さ重視)
  • 風車(中央志向)

そして後手としては54歩を突くか突かないかも大きな分岐点です。突かなければ先手に55歩と押さえる選択肢を与え、42角のラインが使えなくなりますし、かといって54歩と突けば55歩同歩同銀54歩46銀のように一歩持たれます。どちらがマシかは判断しかねますが、僕は相手に一歩持たせるのはなんとなく嫌なので、いつもは53歩型にしています。

 

45歩(反発する)

風車

45歩と反発する手段について考えます。図2から風車を選択して図3

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図3:風車&45歩

図3からは、僕が見える手が2通り+ソフト推奨手が1通りの、計3通りがあります。

【1】図3から45歩同桂88角成同銀44銀77角54銀(図4

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図3:再掲   図4:45同桂の変化

先手有望。途中先手77角に代えて24歩同歩同飛なら45銀同銀23歩34飛33金で後手良しだと思います。本譜図4から後手としては45桂を取り切って収めたいのですが、先手には24歩~34飛で暴れる筋があるため後手はミスのできない展開。個人的にはあまり後手は持ちたくないです。

【2】図3から45歩33角成同桂45桂同桂同銀(図5

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図3:再掲   図5:33角成の変化

先手有望。55桂が残り、37角~64角がないので後手は攻め手に困っていそうです。風車の囲いは74歩73桂までフルで入らないと主張がでないと思います。そもそも63銀62金と上がったところで62銀61金(壁囲い)と比べて全く堅くなっていないですしね(-_-;)

【3】図3から74歩36飛45歩(図6

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図3:再掲   図6:待ってから45歩

これはソフトの推奨手順で、まさかの36飛を呼んでから45歩があるようです。図6から45同桂88角同銀44銀のときに図5と比べて27角が生じています。なので図6からは33角成同桂34歩同銀57銀35歩26飛43角と進むらしく、Theソフトな手がどんどん出てきます。とりあえず36飛と寄らせてから45歩と突く手筋がある(かも)ということだけは覚えておいてもいいんじゃないでしょうか。

 

金美濃

ここまで63銀62金の風車の場合を見てきましたが、45歩と反発する場合に限っては金美濃(図7)の方が優れると思います。

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図7:金美濃

図7からは2通りの展開があります。

【1】図7から45歩同桂88角成同銀35歩同銀(図8

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図7:再掲    図8:45同桂の変化

互角。風車のときは後手35歩のところで44銀と出ていましたが、今回は52角の隙がありますし、金美濃と堅いので35歩から多少殴り合う展開になっても耐えれる格好です。図8からは①44歩24歩同歩33歩同桂(42金もある)同桂成同金24銀34金 ②37角29飛64角成 が考えられます。ただし②は最後86角で馬を消されてしまうため、53歩型の時ならば有効です(86角54馬)。54歩型の場合は③55歩で次の37角を狙ってみるのも面白いと思います。成立するかはなんとも(;´・ω・)

【2】図7から45歩33角成同桂45桂同桂同銀(図9

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図7:再掲   図9:33角成の変化

後手良し。図9からはじっと35歩と取っても良さそうですし、または37角29飛64角成で手厚いため後手が勝ちやすそうです。今度は86角でも馬は消えません。

 

【1】【2】の他には、ソフト推奨の54銀型もあります。図10から先手が喧嘩を売るなら55歩45歩54歩46歩(図11となって一局です。46歩同飛~76飛があり評価値は-250程度(後手指しやすい)のようです。

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図10:54銀型  図11:一例

33金(均衡を保つ)

風車

図12から35歩33金(図13は堅実な手で、先手からの攻めを一時的に受け止めることができます。

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図12:51角   図13:33金で受ける

僕は普段この展開にします。51角のところでは、代えて54歩~42角として角をこのラインで活用するのもありそうです。ただし冒頭でも書いた通り、55歩で一歩持たれるのがどう効いてくるかです。例えば図14のような仕掛けが生じると思います。

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図14:54歩突くと

図14から同歩は22歩ですし同金は25歩です。なので後手は無視して23歩成同金となるのでしょう。金が手厚いといえば手厚いので、どっちが得してるかわかりません(+_+)
 でも少なくとも現状後手が勝ちやすそうには見えません。そこまでして実現した42角のラインで何ができるというのか・・・

ということで話を戻して図13です。図13での差し当たった関心事はどちらが3筋の歩を打つかということです。3通りの展開に別れます。いずれにせよお互い3筋で本格的な戦いは起こせません。

【1】先手が謝るなら図13から34歩同金36飛31飛35歩33金(図14途中先手の35歩に代えて24歩同歩23歩32飛22歩33桂で問題ありません。

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図13:再掲   図14:先手が打つ

【2】先手が謝らず後手が謝るなら図13から36飛35歩同銀34歩46銀(図15

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図13:再掲   図15:後手が打つ

【3】先手も後手も謝らずに保留するなら図13から36飛31飛(図16

 

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図13:再掲   図16:保留

最後31飛は必須ではありません(代えて74歩でも先手の34歩同金35銀は、以下同金同飛34歩36飛35銀があるので成立しない)。しかし先手の15歩や55歩なんかにはどうせ31飛となるので、なんとなく31飛を入れておきました。ちなみに51角ではなく42角と引いている場合は放っておくと34歩同金同飛同銀32金で先手優勢の筋があるので、この場合は31飛または35歩同歩同銀34歩46銀で【2】に合流するかです。図16からは先に3筋の歩を取った側が直後に謝ることになります。

 

【1】【2】【3】で3筋の事情は異なれど、以降の後手の方針は大して変わらないでしょう。先手が穴熊にする場合、一例としては図16から77角74歩88玉84角98香(図17

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図17:穴熊には84角

84角と出て牽制しておくのがいいと思います。他に角の使いみちもなさそうですしね。39角成45桂は先手優勢なので39角成は見込めないのですが、しかし先手の58金を固定できるメリットはあります。86歩~85歩と角を追い払ってくるのは51角と逃げておいて85歩が逆に先手の傷になります。また将来先手が66歩と突けば73桂~65歩で後手有望だと思います。84角が意外と牽制になってる説はありますね。ちなみに75歩同歩同角の歩交換は図14のときと同じように24歩の仕掛けが生まれるので、やらない方がよいでしょう。図17以降、後手は62金より52金で角の可動域を広げるのがよいです。

 

 先手が左美濃にする場合は、ソフトによると図16から96歩94歩86歩73桂87玉62金78銀42角98玉84歩87銀65歩(図18

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図18:左美濃には42角

先手が55歩と押さえていても42角のラインで睨むのが良いようです。先手が66歩56歩の形だったりもするので一概に対策は立てれませんが、正直33金からの持久戦では何をやっても一局だと思います。 後手としては飛車を3筋以外に置きたくなったら35歩同歩同銀34歩46銀~81飛のように自分で3筋を収めることができます。もし先手から34歩同金と取ってきても直後に先手は35歩と打つしかないので3筋は収まります。先手としては79角から34歩同歩同金35銀の攻めを狙いたいところですが、今書いたように後手から35歩同歩34歩46銀で3筋をCloseできるので居飛車としても動きづらく、構想力の勝負でしょう。

 

金美濃

金美濃の場合は51角に加えて42角の選択肢もあると思います。

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図19:51角   図20:42角

まず図19の51角は、風車の場合と同じく84角から牽制するぐらいかなと思います。木村美濃は堅いかわりに53地点がフリーなので、その違いだけですね。

一方で図20のように42角とする方が金美濃らしいと思います。2,3,4筋で戦いが起きるなら64角が活きます。ただし居飛車が特に2,3,4筋で動こうとしない場合、後手64角と出てもすぐに何かができるわけではないと思うので、具体的にどういう狙いで指し進めるか・・・思いつきません。64角にこだわらず64歩~63銀で素直に木村美濃に組んで一局か・・・ちょっと後手のビジョンが見えにくいです。

 

おわり