M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

自戦記(2020年12月9日) 予定通りの中盤戦

こんにちはMarsです。

初めて自戦記を書いてみます。というか自分の棋譜を検討すること自体が僕にしてはかなり稀なことで、なんだか高尚なことをしている気分です。

 

さっそく対局内容に入りましょう。場所は将棋クエスト10切れです。

先手: 相手(2143)

後手: 僕(1855)

まだ10切れのレートを上げている最中なので1855というのはまぁそういうことです。

初手から76歩34歩75歩32金(図1

75歩で石田流を明示されたので後手の僕はいつもの如く54金型向飛車を志向します。32金と上がるのが第一のポイントで、もし32金に代えて44歩だと78飛32金74歩同歩同飛43金76飛33角74歩(変化図a)で後手不満となります。

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図1)32金が大事な手         (変化図a)後手不満な展開

図1)以下、66歩44歩78飛43金74歩同歩同飛33角96歩94歩76飛22飛48玉82銀38玉62玉97角42銀68銀45歩(図2

本譜66歩に代えて68飛(変化図b)という手も一応考えられます。これは手損するかわりに66銀型に組もうという意図で、この場合例えば(変化図c)のように進みます。64金とかわしておいて、なかなかこの金が先手にとって煩わしいのではないかと思っています。この展開はまた別の機会に見ていくとしましょう。

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図2)本譜          (変化図b)          (変化図c)

さて本譜(図2)は54金型向飛車で最も多い展開です。ただし先手は三間では珍しい金無双ですね。普段は先手が美濃か凹み矢倉を選択されることが多いです。

それと(図2)では僕はいつも2筋の歩よりも45歩の位を優先しています。これは三間側の矢倉や高美濃を警戒するためです。43金型は矢倉崩しの陣形に組めないですので、45歩は何なら本譜よりもっと早く突いてもいいぐらい優先度が高いと思っています。

 

図2)以下77桂24歩67銀25歩58金26歩同歩同飛27歩22飛56銀54金28銀73銀(図3

自然な駒組みが続きます。ただし一点注意点があるとすれば2筋の歩交換の後、24飛と浮かないのがポイントです。先手が腰掛け銀の場合はこの後の本譜のように65銀とぶつけられることが非常に多く、その際32金のぶち込みを消しておく必要があります。本当なら24飛と浮いて玉頭戦で優位に立ちたいところですが。

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図3

さて(図3)では後手の73銀が予定の一手です。一見すると中途半端に凹み矢倉を目指しているように見えますがそうではなく、以下本譜はおおむね研究通りに進みます。

 

図3)以下、65銀55金67金84銀(図4

65銀に対しては55金と出るのが予定通りの手です。対して本譜は67銀と礼儀正しく受けられましたが、ここでは74銀(変化図d)もありました。(変化図d)以下は82銀73歩の穏やかルートか66金73銀成同桂75飛(or 86飛)の過激派ルートかといったところで、いずれも形勢は互角。対局中は前者を選ぶつもりでした。

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図4)                (変化図d

予定通りと言っておいてアレですが、実は(図4)は研究局面とは少し違うんですよね・・・先手が美濃でなく金無双なのはもちろんそうなのですが、問題はそちらではなく2筋の歩交換を入れてしまっているため、84銀が予定より一手遅れたことが問題でした。ほんの出来心です( ;∀;)

まぁ84銀が一手遅れても大した事件は起きないのですが、(変化図d)74銀が生じた点で、序盤研究的に少し損を被りました。さいわい本譜はこの順に進まなかったので結果的にほぼ研究通りの将棋になりました。

 

図4)以下、56歩75歩86飛65金同歩76銀(図5

図5)は84銀からの奇襲がうまく刺さった格好です。もっとも、先手は56歩のところで一度冷静に48金と締まっておくのがソフト曰く最善だったようです。75歩が見えている手前なかなか相手の方も指す気が起きなかったのでしょうが、「退くも勇気」

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図5)               (変化図e

ところで48金と上がるならば後手の84銀の一手遅れが帳消しになり、研究の変化をそのまんま応用できることになります。48金以下75歩86飛72金(変化図e)がそれで、次に95歩からの攻めを見て後手有望という研究です。(変化図e)の途中75歩同角もあり得ますが、これには同銀同飛46歩同歩47歩同金66金同金同角76飛75金で後手が良いようです(byソフト)。46歩~47歩が良い乱しですね。僕の研究では先手が美濃で最後57角成があったため、その場合75歩には86飛の一手でした。

 

図5)以下、同金同歩同飛75歩同角同銀同飛66角打74飛77角成64歩(図6

一本道を進んでさすがに後手勝勢だと思っていました。ただこういう局面は安全勝ちを狙いたいがあまり、逆に指し手に精彩を欠くことがよくあります。(図6)の64歩に本譜は手なりで同歩と応じましたが、ここでは66馬が優ったようです。63歩成同玉が飛車に当たりますし、72銀同金52金も71玉63歩成46桂で飛車を抜いて後手勝ちです。

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図6)                (変化図f

本譜でも後手優勢に変わりないとはいえ、同じ優勢のくくりの中であってもより良い手を指せるようになりたいものです。キッチリ勝ち切る能力って意外と大事だと思いました。実際、優勢の局面から逆転負けする将棋だって全体の中で常に何割かはあるわけですから。

図6)以下、同歩55銀同角同歩同馬72銀(図7

55銀は結構うまい手だと思います。67馬は64飛で抜かれるので99馬か同角です。99馬は63歩同玉64飛52玉41銀で勝負になってしまいそうなので、後者55同角を選択しました。55銀に同角同歩同馬(おそらく最善)と進んで本譜は依然後手優勢ですが、41角の心配要素が増えたのが誤算でした。角を切った後に誤算に気付くようではダメダメですね。

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図7

ところで、この戦法における守りの要は42銀だと思っています。特に84銀の展開では玉は守るのではなく常に52玉→43玉と逃がす予定でイメージしています。そして美濃の急所が44角~71銀であるように、54金型向飛車の陣形の急所は64歩~41角だと思います。これを食らうと一発で負けになる可能性があるので注意が必要です。逆に言えばこれさえ気を付けておけば頓死の筋は少ないんですが。

ともかくも、その点に目を向けてみると(図7)の局面って結構なかなか危ない格好してるんですよね  (;'∀')

さいわい72銀のところですぐに41角52合72銀46歩63金51玉、または52桂72銀同金52角成同玉72飛成43玉で後手がまだ余しているでしょう。

本譜は72銀。迫力がありますがこれは悪手でした。

図7)以下、同金52金63玉75飛66馬85角54玉72飛成46桂(図8

72銀同金に63歩には同玉から41角の手順と同様に進めても大丈夫ですし(対局中は本当に大丈夫か自信がなかった)、この場合72銀同金63歩には同金71角52玉72飛成62合同角成同金63金43玉で後手逃れですね。

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(図8)

(図8)以下は同歩47銀同玉56銀58玉57銀成69玉68金までの簡単な詰み。56銀までで投了となりました。

 

 

 【感想】

玉型が不安定なだけに最後あたりは対局中結構ビビっていました。しかし冷静になってみて見れば、このくらいの変化は読みでカバーできないといけないし、また読みでカバーできていることを自覚できていないといけないという反省点が挙がりました。

また、終盤の入り口の64歩の局面、あそこで66馬が指せていれば以降の少し怖い41角の筋を見せられることもなかったわけで、そういうちょっとした一手を指せるかどうかが将棋の安定感なのだなぁと思いました。