M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

m式四間飛車 開発記録

このブログではわかりやすくm式四間飛車という名前で呼ぶことにしますが、「ノーマル四間飛車32銀型のブログ」では常盤流と紹介していたので本文では常盤流という名前になっています。以下は「ノーマル四間飛車32銀型のブログ」に投稿した記事を転載します。ブログ本文では丁寧語を省略していますがご容赦ください。

 以下、ブログ本文

 

 

 

常盤流四間飛車についてまとめる。

これは完全にオリジナルの構想だが、常盤(ときわ)とは岩にコケが生えて緑色になった様子を意味する。特に命名について由来はない。なんとなく趣深いから( ´∀` )

           常盤流四間飛車の基本図

 

ツノ銀四間飛車の格好なので基本的に左銀急戦に対しては十分戦える。

 ※風車と同様に評価値的な面でソフトが最善を尽くすと後手良しとはならない。風車四間の対左銀急戦については別の記事でまとめる。

 常盤流の目的は45歩から多少なりとも動いて居飛穴など通常の展開から逸脱すること。上図45歩以下は角交換の有無、36歩の有無によって4つの展開が考えられる。

  1. 66歩・37歩型→35銀ルート
  2. 66歩・36歩型→43金ルート
  3. 33角成・37歩型→立石流ルート
  4. 33角成・36歩型→宗歩ルート

1~4それぞれについて以下に示す。

 

【1】66歩・37歩型

基本図より66歩44銀76金35銀68角64歩98香63銀99玉41飛88銀62金79金74歩

35銀で満足して組み合って後手に主張があると思う。まず先手の打開手順としては上図から38飛が考えられるが38飛26銀36歩27銀不成37飛28銀成で後手良し。よって38飛から動くことはできない。ただし本譜79金に代えて79角~38飛26銀78飛から玉頭をいじられる展開は後手不安。ただ後手からも先手飛車が動けば24歩同歩同角~44角53角26歩というじっくりした動きも考えられる。要研究のテーマである。

 

2020/05/09 追記

上図からは54歩 or 41飛で相変わらず先手評価値が高いものの一局かと思う。41飛以下は55歩同角56銀33角36銀44銀(同銀は26飛で死ぬ)24歩同歩同角同角同飛23歩28飛54歩で互角。例えば上図から74歩なら最後28飛に51角を受けて41飛に37角ぐらいで後手ピンチ。もう一つの選択肢54歩は55歩を受けた手である。また、後手は上図から下手に73桂を目指すと38飛26銀86角84歩78飛などで争点を作られて不満。争点を与えない方針で指すべき。

 

【2】66歩・36歩型

基本図を再掲載

基本図より66歩44銀36歩43金78銀35歩38飛34金35歩同銀65歩36歩

36歩と35銀を阻止されれば43金から35歩で手を作る。上図のように進めば46歩同歩同銀36飛35金などを見て後手が楽しい。ただしソフトの言う先手の最善の対応は43金に対して38飛22飛37桂42飛~54金という展開になる。後手は35歩同歩同銀から動けるが先手も24歩同歩25桂があるため、重い54金も相まって後手が神経を使う展開。上図のように進むなら後手ペース。上図以下33角成同桂24歩同歩23角は52角32歩41飛31歩成同飛~43角~21飛で角の捕獲を狙って後手不満無し。ただし15歩~14歩ともがく手もあるため後手優勢かというとそこまでではない。

 

【3】33角成・37歩型

基本図を再掲載

基本図より33角成同桂78銀35歩24歩同歩同飛23歩28飛54銀77角65銀

この進行は一例。65銀で77角を咎めれるため後手は立石流を狙える。また本譜28飛と帰る手に代えて26飛には54銀だと77角65銀55歩が気になるため26飛には34銀と圧をかけておく。また本譜24歩に代えて77角なら34銀24歩同歩同飛23銀同飛(28飛は25歩で後手十分)24歩で22飛!または同金33角成22角同馬同飛33角21飛(32銀には34金)という互角の展開が考えられる。

 

(追記)--------------ーーーーーーーーーーー

もう一つの案としては基本図以下33角成同金78銀35歩77桂34金66歩33桂65歩25桂が考えられる。

魔界四間飛車に組んでこれもかなり有力だと思う。立石流よりは威圧的な手順である。また立石流でも33角成同桂78銀35歩~34銀を本筋に考えた方が安全だろうと思う。62銀型ということもあり立石流は個人的には勝率が芳しくなかった。

 

2020/06/11追記

現在では34金~25桂の後の方針が難しく、48銀などから一歩持って26歩の危険性が常にあるので魔界を諦め、今度はその34銀を最有力と見ている。

これが基本図ー改 から34銀ルートに進む途中図。

ここから88玉などと囲いを進めるならば上図以下34銀24歩同歩同飛23銀28飛44飛

これは後手有望の展開。よって88玉などに代えて先に24歩を交換する手の方が後手としては気になるが、その場合は24歩同歩同飛23歩28飛34銀88玉43金

これも後手有望。以下は22飛から圧迫するが、24歩26歩で受けてきた場合は62銀52金~25歩と仕掛けて後手良い。ただし16歩が入っている場合には25歩同歩同銀17桂26歩という展開になるので一応注意は必要。上図から36歩は同歩35歩25銀で後手良い。

 

 

【4】33角成・36歩型

基本図を再掲載

基本図より33角成同桂36歩64角37角同角成同桂54歩96歩94歩78銀41飛66歩53銀16歩62金77桂44銀右65歩35歩

上図以下は26飛36歩同飛27角26飛38角成48金35銀(または48馬同銀35銀27飛36歩)、または27角に代えて28角34歩35歩33歩成同金45桂36歩33桂成同銀で、いずれを選択しても後手ペースである。

(追記)------------------------

もう一つの案で基本図以下33角成同金36歩44銀78銀64角37角同角同桂35歩

これはうまくいった例だが、先手は意外と受けにくい。64角に18飛はあるが、24歩66歩74歩くらいで先手困っているか。因みに66歩に代えて66銀は25歩65銀26歩64銀同歩で素直に角銀交換しておいて2筋が受からず後手良し。

 

なを、基本図の45歩に対して66歩などではなく66銀なら通常の風車四間で65歩の位が取れるためそちらにチェンジして後手十分だと思う。また、基本図から78銀にはソフトは44銀36歩54歩~55歩で少し後手指しやすいと言っている。しかしそれは36歩〜66銀などで評価値は後手マシでも先手の模様が良い気もするため、78銀には代えて35歩と位をとって34銀型を作るなどもアリだと思う。

 

2020/05/09追記

上図を基本図ー改とする。62銀と78玉の交換を省略する意図としては、この交換が居飛車有利な可能性、また62銀と締めることによって逆に実戦的には83地点に利かされたときの狭さが目立つという点、また実戦では43角などの筋で後手陣は簡単に崩壊し得るため実は62銀は見た目よりあまり貢献していないのではないかという点。それらの理由で62銀は省略したほうが良いというのが現段階での結論。62銀を省略することで手順にも変化が出てきて、大きな変更点は35銀ルート、および43金ルート(35歩同歩から先手が右辺を無視して囲う変化)において82玉から下2図のように穴熊・美濃を選べる点だ。

35銀ルート本編で述べた55歩同角56銀の変化を消すため、54金は早めに上がった方が良いか。見た目はイマイチだが上図2つ共に38飛26銀77角には35銀36歩46歩35歩47歩成34歩15角で後手良し。またすぐに77角に46歩とせず待って以下24歩同歩65歩に44金または44銀とする手も考えられる。ソフト的には互角らしいが人間的にはやはり後手少し心配な形。

また、43金ルートでも下図のようになって後手指しやすい。

 

金美濃~34金もあり得るが、銀冠には85歩からどうなるか。木村美濃を目指すなど手は広い。が、穴熊か美濃が安パイだろう。

 

2020/06/11追記

35銀ルートのこのような局面が実戦で現れた。放っておくと次に55歩同角56銀33角65銀同金同歩52金のような展開になる。その場合一歩得 vs 金銀交換の勝負になり形勢に大差はないが、後手が望む変化ではないためここではしっかり64歩を突いておくべき。穴熊の場合はこの筋がネックになると考えられるため美濃が良いというのがいまのところの結論。

またこの局面では次に36歩同銀48銀が指摘された。16歩が無ければ次の26飛に15角でよい。36歩同銀48銀65歩26飛66歩77金46歩同歩62飛36飛67歩成同金88角成同玉66歩77金67銀で、次に37飛から千日手模様が一例だがこれは後手も全く自信がない。因みに37飛に代えて69銀などなら78銀成同銀67金79銀77金で後手良い。

よって後手は65歩に活路を見出すのではなく大人しく

44金がある。

以下24歩同歩同角は22飛で後手指しやすい。また86角にも54金と戻っておいて問題ないだろう。というかこれなら64歩は要らない説・・・

 

また46歩同歩45歩も十分考えられる。

以下26飛は46歩36飛47歩成59銀48とで後手十分なので、考えられる進行としては【1】同歩同銀47歩46歩37桂56銀同金47歩成、または【2】同歩同銀47歩65歩77角 を挙げられる。が、まぁいずれも後手指しやすそうだ。

 

2020/06/14追記

62銀を省略することで当然53地点のカバーが無くなるため、それによる注意点を記す。

上図は43金ルートで43金に対して65歩35歩同歩同銀と進んだ局面。この展開においては53の紐がないため以下の手順が生じる。

上図以下33角成同金24歩同歩31角52飛22歩12角

最後の12角が好手で後手が指しやすい将棋となる。先手は桂は取れてもあくまで歩桂交換であるし、次に32金で角が殺されると将棋が終わるので上図以下考えられる進行としては

21歩成同角38飛36歩27桂44銀35歩

最後35歩は34歩と控えて打っても問題ない。以下更に進めると同桂34歩23歩35歩22角成36歩21馬28飛34歩同金43馬33金52馬同金31飛62金11飛成29飛成86香61桂51角26角などがソフトの一例である。後手は29桂を拾うと74桂(次に66桂打ち)という手が良い手になることがある。

最終手35歩に代えて34歩と控えて打つ場合は23歩同金46歩32飛45歩31飛44歩42歩15桂33金22銀54角26飛35角などがソフトの一例である。

 

 

 

以上。

 

常盤流四間飛車は相手に初見で完璧に対応されることはまずなく、事前に手順を用意しているこちらに分があると思う。ただ如何せん玉が薄いことは否めず早指しでは少々難しいか。しかし先手ペースの持久戦を避けることができるというのは後手にとって非常に大きなメリットだと思う。またツノ銀なので先手のトーチカや地下鉄飛車に対して45歩から角交換を見せることができ57角なら54歩~55歩などの動きが見込める。引き角系統には比較的指しやすいというのも魅力だと感じた。