M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

34銀定跡

今回は相居飛車の立ち上がりから2筋を逆襲する変化(34銀定跡)を紹介します。名前は適当につけました(>_<)
初手から▲26歩△32金▲25歩△42銀▲76歩△34歩(図1)

図1:△34歩

発動条件は図1の局面になること、かつ図1から先手が▲22角成としてこないことです。周辺の変化は後で紹介するとして、まずは本筋の手順を進めましょう。以下▲24歩△同歩▲同飛△33銀▲28飛△35歩(図2)

図2:△25歩

3筋の位を取りスペースを確保します。以下▲24歩△34銀(図3)

図3:△34銀

図2から先手が▲24歩と打ってきた場合はシメたものです。図3から以下の2つの変化で後手が良くなります。
【変化A】▲22角成△同金▲56角△12角▲46歩△25歩▲38銀△33金▲47銀△24金(結果図A)
【変化B】▲38銀△25歩▲46歩△88角成▲同銀△33金▲47銀△22飛(結果図B)

結果図A:△24金  結果図B:△22飛

どちらの変化でも△25歩から先手の▲24歩を取りきることができ後手ペースの展開です。ちなみに結果図Bでは最後△22飛に対し▲31角には△52飛▲36歩△32金▲35歩△同銀▲25飛△24銀(図4)後手優勢。△24銀▲同飛△15角が王手飛車なので。

図4:△24銀

図2に戻ります。

図2:再掲

ここで先ほどは▲24歩としましたが先手としてはこれがまずかったようです。今度は▲38銀を見てみましょう。これに対して△34銀とするのはちょっと無理で、以下▲22飛成△同金▲55角△23飛▲22角成△同飛右▲同角成△同飛▲31飛(図5)先手優勢

図5:▲31飛

これは△34銀が祟っている形です。ちなみに途中△23飛に代えて△28飛は▲27歩と蓋されて全然ダメ、また先手は▲22飛成に代えて▲22角成△同金▲56角△23角の変化でも先手良しです(※最後△12角だと▲83角成で飛び上がります)。

したがって後手は図2からの▲38銀に対しては一度△24歩(図6)と置いておくのが正しいです。

図6:△24歩

以下▲46歩△23金▲47銀△34銀▲68玉△88角成▲同銀△22飛(結果図C)

結果図C:△22飛

結果図Cは一般的な角交換向かい飛車と比較して手数はやや損をしている印象ですが、34銀型に組めていることと先手の2筋歩交換を逆用できていること、また△23金にいることで△22飛の瞬間に▲31角△52飛▲22歩の筋が消せています。結果図C以下は△62玉~△33金~△25歩で良い勝負。

ここからは34銀定跡にならなかった場合の話です。冒頭の図1に戻ります。

図1:再掲

以下▲22角成△同金▲38銀△33銀(図7)

図7:△33銀

先手が角交換してきた場合は角換わりに合流するのが自然でしょうか。△22金型は一手損に見えて実際は△22金→△32金と戻しておいて手損なしです。△22金に配置しておく指し方は角換わり棒銀への対策として有名な手法です(▲26銀~▲15歩△同歩▲同銀の変化で後手の端が手厚い)。ちなみに図7で△35歩と位を取って△34銀△33金の陣形に組むこと自体はできますが先手が飛車先歩交換をしていないので2筋逆襲の筋がなく狙いに欠けます。

また更に局面を戻って図8のように即行で2筋歩交換をしてくる場合について。

図8:▲24歩

この場合は以下△同歩▲同飛△23歩▲28飛△44歩▲76歩△43銀▲48銀△34歩(図9)

図9:△34歩

居角雁木に組んでおいて後手も一応の主張があると思います。通常雁木では▲25歩決めてくる相手に対しては△33角が必要となり、早繰り銀が厄介という事情がありますが居角雁木なら早繰り銀に対して耐性があります。

まとめ
今回は34銀定跡について検討しました。先手の飛車先を逆襲するという狙いはおおむね達成できる変化が多く、実用性はあると思います。発動条件が限定的であるというのが玉に瑕ですが、その場合でも一応何かしらの主張を得る程度のことはできそうです。