M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

対振り右玉対策2 32金型四間の検討

対振り右玉対策として最も安定して有力なのが32金型四間飛車だと言われます。結果的に上図まで進みます。桂交換かつ後手の角道が通っているため、先手としては右玉の一つの理想である▲27金~▲26金の圧迫が通用しません。ただし桂交換自体は陣形の厚い側(右玉側)に有利に働くため、上図は総じて互角の形勢と言えます。

ここまでの手順を見ていきましょう。

初手から▲26歩△34歩▲25歩△33角▲48銀△44歩▲36歩△42飛▲37桂△32銀▲46歩△62玉▲38金△72玉▲47銀△43銀▲56歩△32金▲68銀△14歩▲57銀△22角図1

図1:△22角

ここまでは自然に進みます。△22角と引き△33桂の空間を作ります。本譜に代えて先手は▲67銀~▲56銀型の糸谷流も考えられますが、△54銀~△45歩と攻められて...

❶銀交換になってしまい先手は4筋の厚みを築けない

❷▲66歩が浮くので角で取られる

❸▲66歩に紐を付けようと▲76歩と角道を開いている場合は△64歩~△65歩が厄介

以上3つの理由のため糸谷流はあまり好んで指されない印象です。四間飛車相手には57銀型が一般的でしょう。

図1から▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛△41飛▲48玉△33桂図2

図2:△33桂

一見△41飛と△14歩が無駄なようですが、以下の2つの変化で役に立つ手です。

図2から▲76歩△45歩▲同歩△同桂▲22角成△57桂成▲同玉△22金変化図a)後手優勢。※△41飛引いてないと▲31角が鬱陶しい

❷ 図2から▲58金△54銀▲35歩△43銀▲36銀△35歩▲同銀△36歩▲34歩△37歩成▲同金△45桂打▲同歩△同桂▲36金△57桂成▲同金△45銀▲25金△13角変化図b)後手が勝ちやすい。※△14歩突いてあればいざというとき暴れられる

変化図a:▲76歩の変化   変化図b:▲35歩の変化

本譜は図2から▲66歩△54銀▲76歩△45歩▲同歩△同桂▲同桂△同飛▲46歩△41飛図3

図3:結果図

先手は▲58金と上がってしまうと△45飛→△85飛が激痛です。なので▲66歩か▲68金ぐらいでしょうが、将来の▲69飛を含みにして▲66歩を本譜としました。

図3以下、後手は△82玉△72金△62銀の金美濃、攻めは△21飛~△44角~△24歩が自然でしょうか。先手も▲77桂~▲78金~▲65歩~▲75歩~▲66桂などが狙い筋になります。一局の将棋ですね。

 

32金型四間飛車の右玉対策をもう一つ紹介します。こちらは地味路線です。

先手の飛車が2筋から移動すると△25桂▲同桂△24歩があります。対振り右玉に対して風車では、陣形思想が似ていて差別化できない恐れがありますが、むしろ他を同じにして「▲25歩を突いたことを後悔させてやろう」ということです。性格の悪さが出てますね(;´・ω・)

▲25歩を助ける▲26金には、△53角で次の△45歩を見てやはり後手満足だと思います。