M氏の将棋

序盤戦術と自戦記書くよ(`・ω・´)

向飛車対策 ~△43金型~

 

向飛車対策を検討します。

背景 

54金型向飛車は対三間を想定したオリジナル戦法です。金の横利きを活かした受けが優秀で、できれば対向飛車でもこれと似たテイストで指せると嬉しいところです。検討を始めるにあたって、まず対向飛車において対三間の54金型向飛車をそのままぶつけた場合の問題点を明確にしておきましょう。

【問題点】躊躇なく角交換を挑んでくる

図1:角交換

ノーマル向飛車は角交換に強い陣形なので相手は躊躇なく▲65歩で角交換を狙ってきます。逆にこちらの54金型は角交換との相性が良くないためこの展開は避けなければなりません。そこで△43金型で待機する方が現実的だと考えました。△43金型であれば万が一角交換になっても△42銀~△53銀として角交換に強い陣形を維持できます。また後述の△44金~△54歩の変化を用意することができます。

さて次は上記を念頭に、以下 具体的な手順の検討をしていきます。

初手から▲76歩△34歩▲66歩△44歩▲68銀△32金▲67銀△33角▲77角△43金▲88飛△22飛▲86歩△62玉▲85歩△72玉図2

図2:△72玉

対三間では△84銀と出る変化がありましたが、対向飛車の場合はそのような筋はないため△82銀と上がる意味はないでしょう。玉型を整える△72玉がまさります。以下先手の囲いが平矢倉の場合と金無双の場合に分けて紹介します。

対向飛車(平矢倉)

図2から▲28銀△24歩▲36歩△25歩▲37銀△45歩図3

図3:△45歩

この△45歩を怠ると▲46歩から矢倉に組まれて手が出しにくくなります。
図3から▲56銀△44金▲65歩△54歩図4

変化図a:歩で対抗(後手満足)

このように腰掛け銀で45歩を咎めようとされる場合、△44金~△54歩~△55歩で銀を追い返して後手満足です。

先手としては▲56銀が不成立となると作戦的にかなり窮屈になります。▲56歩と突くのは△79角の筋が生じるので指しにくく、また▲75歩~▲76銀のプランも平矢倉との相性が悪いです。一方で後手は△54歩~△53銀を目指して十分と思います。

図3から▲38金△54歩▲49玉△62金▲58金△42銀▲39玉△53銀▲65歩図4△55歩▲84歩△同歩▲同飛△83歩▲86飛△54金図5

図4:角交換の打診    図5:△54金の大模様

先手のプランは▲28玉▲48金と固めるか、または本譜(図4)のように▲65歩で角交換を見せるぐらいでしょう。図4において後手は角交換を受け入れる手や△44銀~△35歩の攻めもありどれも一局ですが、本譜△55歩~△54金(図5)が面白い指し方だと思います。大模様を築いてB面攻撃を狙う展開となります。

 

対向飛車(金無双)

図2から▲56銀△24歩図6

図6:△24歩

▲56銀は後手の△45歩を封じる狙いです。もし先手が▲56銀と出てこなかった場合は図5のように組んで問題ないと思います。本譜は先手にこれを防がれた場合を見ていきます。図6△24歩と突いた局面で先手は平矢倉が間に合わないことが確定しました。

図6から▲48玉△25歩▲38玉△54歩▲58金△42銀▲48金△26歩▲同歩△同飛▲27歩△24飛▲65歩△35歩▲46歩△62金▲47金左△53銀▲28銀△14歩▲16歩△34金図7

図7:△34金

手順中▲65歩は絶対で、代えて▲46歩は△55歩(変化図b)で銀を追い返して後手満足です。(△55歩▲同銀△54歩は後手勝勢)また手順中▲46歩は絶対で、代えて▲28銀だと△45歩(変化図c)が成立します。(▲45銀△55歩~△44歩は後手勝勢)

変化図b:△55歩後手満足   変化図c:△45歩が成立

本譜は図7から▲84歩△同歩▲同飛△83歩▲88飛△45歩▲同歩△77角成▲同桂△55歩図8

図8:継続△55歩   変化図d:△66銀(後手良し)

図8△55歩が攻めを継続する好手です。これに対して▲同銀だと△45金▲46銀△33角▲86角(代えて▲45銀は△77角成▲58飛△33桂▲56銀△55歩で後手優勢)△46金▲同金△66銀変化図d)で後手良しとなります。例えば以下▲78金には△84飛▲85歩△74飛として先手は次の△76飛が受けにくいです。▲78金に代えて▲87金には△54飛など中央を狙っておいて後手が勝ちやすいでしょう。いずれにしても後手は▲43金打ちが怖いので、盤上に金銀を打ち合う展開はありがたいです。

したがって本筋は図8から▲67銀△45金▲46歩△44金▲96歩△33桂▲95歩△15歩▲同歩△54角図9

図9:△54角(結果図)

 

好位置に角を設置した図9(結果図)では次の△18歩▲同香△26歩が受けにくく後手ペースの戦いが期待できます。以下先手としては▲36歩△同歩で一旦凌いで、あとは後手陣により着く隙があるかどうかという勝負になります。

 

以上